朝日新聞は12月23日付朝刊で、8月に「慰安婦狩り」証言を虚偽と認定した故吉田清治氏のを証言を取り上げた記事2本を新たに取り消し、おわびをした。同紙は8月5日付で、1982年以降に故吉田氏を取り上げた16本の記事の取消しをしていたが、その後に設置した第三者委員会が12月22日に発表した報告書で、慰安婦以外の者の強制連行に関する故吉田氏の証言を扱った記事についても「適切な処置」をするよう進言していた。朝日新聞は8月以降に故吉田氏の過去の報道を再調査して判明したと説明している。(関連=【GoHooトピックス】慰安婦報道第三者委員会が報告書 「編集に経営が過剰介入」、【旧GoHoo注意報】慰安婦「強制連行」証言 朝日新聞、虚偽と認め撤回)
今回新たに取消しをしたのは、80年3月7日付朝刊の川崎・横浜東部版に掲載した連載「韓国・朝鮮人Ⅱ」27回目の「命令忠実に実行 抵抗すれば木剣」と、84年1月17日付大阪本社版夕刊に掲載した連載「うずく傷痕 朝鮮人強制連行の現在」1回目の「徴用の新郎奪われて」の2本。
朝日新聞の説明によると、80年3月7日付記事は、吉田氏への取材をもとに「2回ほど朝鮮半島に出かけ、”朝鮮人狩り”に携わった」などと記述していたが、吉田氏が所属していた山口県労務報告会の職員が直接朝鮮に出向くことは考えにくいと判断したことから虚偽と判断、全部取消しとした。84年1月17日付記事は、吉田氏が朝鮮人強制連行業務の一端に連なったと記し、吉田氏が韓国・天安に建てた謝罪の碑の除幕式の様子を紹介したものだが、除幕式があったこと自体は事実であるため、虚偽とされた吉田氏の証言部分に限って一部取消しとした。
このほか、82年10月1日付社会面に掲載した「朝鮮人こうして連行 樺太裁判で体験を証言」と題する記事は、東京地裁に証人として出廷した吉田氏が朝鮮人の連行に加わったとの証言を記事化したもので、取消しや訂正になじまないと判断、データベースに「吉田氏の証言に信用性はなく、虚偽だと考えられます」との「おことわり」を付記する処置をとった。
朝日新聞2014年12月23日付朝刊37面
(初稿:2014年12月23日 22:04)
(初稿:2014年12月23日 22:06)