木曽尚人、吉本美奈子 小林孝也
2014年12月24日00時04分
低気圧がもたらした記録的な大雪で、岐阜県飛驒地方では停電が続いている。一帯の家々では夜になるとろうそくがともり、家族が白い息を吐きながら身を寄せ合う。「つらくて涙が出た」。一人暮らしの高齢者は近所や身内の支えを頼りに暗闇と寒さをしのいでいる。
岐阜県高山市清見町坂下。23日夕、薄暗い台所で清水美代子さん(79)が夕食を取っていた。テーブルにともるのは約15センチのろうそく。足元の灯油ストーブと、カイロで暖をとる。居間の電気ストーブは使えず、台所にいる時間が増えた。水道の凍結を防ぐため、蛇口からちょろちょろと流している水の音だけが家の中に響く。することがなく、ここ数日は午後6時に床についた。
夫が3年前に先立ち、一人暮らし。「停電して3日目くらいがつらくて、お父さんがいてくれたら、と涙が出た」と話す。
車で約10分の所に住む娘が、買い物や雪かきをしてくれた。カイロも持ってきてくれたという。停電になってから近所同士でも助け合い、清水さんもご飯を炊いてお裾分けした。
この日、カップラーメンとカイロを持って中部電力の人があいさつに来たという。「あと2、3日の辛抱ですかね」と笑った。
近くに住む川本睦枝さん(67)は「癖なのか、薄暗くなるとつい、電気のスイッチを押してしまう」と苦笑いする。夫の一成さん(72)や長男夫婦、小学生の孫3人の7人暮らし。この日の夕食には、スキーウェアやフリースを着込んで家族がこたつに集まった。「もう慣れたね」。そう話すと白い息が広がった。
睦枝さんはカイロを背中と腰に貼り、毛布にくるまって寝ている。「こんな長い停電は初めて。早く復旧して欲しいです」
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朝日新聞社会部
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