東通原発:断層に「活動性」 東北電のデータ不十分

毎日新聞 2014年12月22日 20時03分(最終更新 12月22日 21時00分)

東北電力東通原発の主な敷地内断層
東北電力東通原発の主な敷地内断層

 原子力規制委員会の有識者調査団は22日の会合で、東北電力東通原発(青森県)の敷地内にある断層群について「活動性を否定できない」とする報告書案をまとめることに大筋で合意した。昨年2月の前回報告書に続き活断層の可能性を認めることになる。断層群は原子炉から最短で約200メートルの近傍にあり、東北電は大がかりな耐震工事を求められる公算が大きい。東通原発の再稼働は大幅に遅れる可能性が高くなった。

 会合では、敷地を南北に走る10本の断層群のうち、前回報告書で「活断層の可能性が高い」とした「F−3断層」と「F−9断層」の周辺の地層の割れやたわみを主に議論した。東北電はいずれも「活動性はない」と主張していた。この日の会合で事務局の原子力規制庁が示した報告書案には、活動性を主張する意見と否定する意見を併記していたが、調査団は「必ずしも有識者間の意見は分かれていない。活動性を否定するには東北電のデータが不十分」との判断で一致した。

 一方、原子炉冷却のための海水取水路直下を走る「f−1断層」の活動性は「ある」「なし」の両論を併記。原子炉直下の「f−2断層」は「活動性はない」と認定した。仮にf−1断層が活断層と認定されても、取水路の移設などで稼働できる可能性は残るが、大規模な工事が必要になる。

 調査団は今後、報告書を正式に決定し、規制委に提出する。東北電の安倍宣昭副社長は会合終了後「(調査団の判断の)根拠が科学的に証明できていない。議論の場を設けてほしい」と述べた。

 昨年7月に施行された新規制基準は、「将来活動する可能性がある」断層などを活断層とすると規定。今年11月にまとめた日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の報告書ではこれに沿って明確に活断層と判断したが、今回は活断層とは明記せず、表現を弱めた。規制委は今月、調査団の報告書を参考に新規制基準に基づく規制委の安全審査で結論を出す方針を示した。東通原発1号機は安全審査を申請しており、規制庁幹部は「最終的な判断は調査団ではなく、あくまで規制委だ」と話す。【鳥井真平、斎藤有香】

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