朝日慰安婦問題:社長、おわび読み退席 第三者委報告
毎日新聞 2014年12月22日 21時04分(最終更新 12月23日 00時00分)
ジャーナリストの池上彰さんのコラム掲載を一時見送ったのは、木村伊量(ただかず)前社長の判断だった。22日に発表された慰安婦問題に関する朝日新聞の第三者委員会の報告書は、コラム問題についての従来の朝日新聞の説明を覆した。記者会見では「虚偽説明だったのか」との声が上がった。朝日新聞の信頼回復への道のりは険しそうだ。
コラムをめぐっては、9月11日の記者会見で木村前社長が「私の指示ではない。取締役編集担当(当時)にゆだねた」と述べていた。ところが、報告書は「実質的には木村前社長の判断だ」と指摘した。この日夜、東京都内のホテルで開かれた第三者委の記者会見が終了してから、同社社員が経緯を説明する文書を配り始めた。これまでとの食い違いを説明するよう記者が詰め寄ったが、高田覚・取締役広報担当は木村前社長のコメントを示しながら「第三者委の報告書の内容を真摯(しんし)に受け止める。ご理解ください」と話すだけだった。
「質問は1人1問に限る」「報告書に書いてある」。報告書を出した第三者委の中込秀樹委員長も、コラム掲載見送り問題について記者の疑問にほとんど答えなかった。「編集担当の判断にゆだねた」とする木村前社長の9月の会見時の説明について、中込委員長は「(木村前社長は)思い込んで話していた」との見方を示した。だが、そのように考える理由を問われると、「私は思い込みと思ってるだけ。いろんな言い方がある」と詳しい回答を避けた。また今後、同社にどのような説明責任が求められるかについて見解を聞かれても「報告書に書いてあるとおり」と述べるにとどまった。
一方、今月就任した渡辺雅隆社長は、第三者委の記者会見の前に姿を現した。中込委員長から報告書を手渡され、第三者委への謝辞や一連の報道のおわびのほか、「26日に記者会見を開いて説明する」と書かれた文書を読み上げると、会見が始まる前に会場から姿を消した。【関谷俊介、牧野宏美】
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