産経ニュース

【正論】民社党にみる戦後政治の「不運」 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
民社党にみる戦後政治の「不運」 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

 自民党の支持率は回復した。それに対し、社会党への失望と不満はむしろ大きくなった。6月末からの各地の知事選挙で社会党は惨敗した。支持政党調査でも社会党は支持率を大きく減らしている。

 こうして60年11月の総選挙を迎える。西尾民社党委員長は、日比谷公会堂での3党首立会演説会に臨んだ。社会党を議会制民主主義の破壊者と非難し、演説に手応えを感じて降壇した。ところが西尾の演説後に事件が起きる。よく知られた浅沼社会党委員長刺殺事件である。民社党への票は同情票となって社会党に流れることになった。民社党は惨敗する。

 ≪幻に終わった二大政党時代≫

 民社党は2度の不運を持った。1度目は60年安保が、新安保条約そのものの是非ではなく、強行採決という審議のやり方をめぐって院外で大きな反対運動になってしまい、民社党の中道議会主義が弾き飛ばされたことである。

 2度目は60年安保後、人々が平静に戻ったときに、浅沼社会党委員長が刺殺され、票が社会党に流れてしまったことである。すでに党勢を失速させていた社会党が延命することになった。

関連ニュース

【正論】分岐路に立つ「危機感」が争点だ 京都大学名誉教授・中西輝政

「ニュース」のランキング