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【激流】
「誰が国会で慰安婦問題を聞くの?」 次世代の党、存続の危機…首相の政権運営にも影
山田宏幹事長や中田宏国対委員長ら党幹部が軒並み落選した。後任の幹事長に、衆院解散後に入党した参院議員の松沢成文副党首の名前が挙がっている。
野党の弱体化は本来、安倍政権には大歓迎に違いない。ところが、次世代の後退は悩ましい問題だ。
山田氏は2月の通常国会で、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話の欺瞞(ぎまん)性を取り上げた。これを受けて安倍政権は談話作成過程の検証に着手。「いわゆる『強制連行』は確認できない」との報告書をまとめた。朝日新聞が慰安婦問題に関する32年前の誤報を認めることにもつながった。
慰安婦問題は首相が重視してきた課題だが、足下の自民党では大きなテーマにはならなかった。首相と次世代は「保守」という共通理念の下、与野党の立場を超えて役割分担してきたといえる。首相が目指す憲法改正でも、足並みをそろえたいところだった。次世代の後退は、政権にとって野党からの側面支援を失うことになりかねない。
落選した次世代幹部は寂しげにこうつぶやいた。
「いったいだれが国会で慰安婦問題を聞くの? これから安倍政権は漂流していくよ」