外国人の扶養控除の手続き方法
今年の年末調整で昨年と変わった点は、介護医療保険控除が設けられ保険料控除の合計適用限度額が12万円とされたことぐらいです。
今回は外国人を雇用している場合の、年末調整での注意点に関して確認しておきたいと思う。
一般に年末調整で扶養控除の確認をする場合「平成24年度 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記載内容を確認して行うケースが多いと思う。
しかし外国人の場合は、それ以外に下記の書類を必要とするので早めに確保しておいた方が良い。
(必要書類)
1.本国に配偶者・扶養親族がいる場合は、その国の家族名及び本人との関係・生年月日などが記載されている、公共機関発行の証明書の確保。
外国人の場合、扶養親族は、両親・兄弟姉妹だけでなく甥や姪まで扶養していることもあるので必ず本国での証明書を取り寄せる必要が有る。
余談だが、以前までアジア圏の外国人の扶養者証明書の生年月日を見ると、ほとんどの者が1月1日生まれになっている。たぶん日本のような戸籍もなく出生も病院では無く自宅等で生まれ、出生の届け出も今と違い厳しくなかったからだろう。
2.扶養者への送金明細書の提出これは、実際に本人が扶養者へ生活資金を送金していた事実が有るのかどうか確認するために必要な書類である。送金している通帳のコピー及び送金明細書、あるいは金融機関発行の1年間でいくら送金していたのか証明する書類などである。
今年の確定申告で当事務所が関与した実際の事例を紹介する。
日本で法人を立ち上げホテル業を営んでいる48歳の外国人の社長だが、日本国内に配偶者及び実子4人と同居をしているが、そのほか本国に父・兄弟姉妹6人・姪甥18人合計30人いたケースである。
このケースの場合、まず出身国で、社長本人が扶養している家族名・続柄・生年月日などの身分関係が分かる証明書を取る必要があり、地元の公共機関で証明書を取るようにさせた。
証明書は地元の言語で書かれていたので日本語に翻訳しておく必要があった。
さらに、扶養者各自の収入(所得)がわかればよいが、アジア地域の外国人の場合は所得証明書なるものは無いようである。従って社長本人の自主申告になってしまった。
次に、生活資金の送金証明書であるが、これは本人の預金通帳及びその送金明細書をコピーし確保しておいた。
今回の場合、生活資金が社長本人の父親だけに送金されていたので、他の扶養者にはどのように生活資金を渡していたかが問題になった。そこで、社長本人直筆の「理由書」を作成し確定申告書に添付をすることにした。
なお、この社長は日本語が書けないので母国語で書いてもらい、それを日本語に翻訳したものを提出した。下記に提出した「理由書」を参考として掲載する。
【参考】
【クリックして拡大表示】
平成23年度の所得税より年齢16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止になっている。
これは民主党政権が掲げた子供手当支給に伴う措置である。日本の子供たちは子供手当を受給しているから分かる。しかし外国人が扶養している子どもたちは皆、本国で生活している。その者たちには日本の子供手当は支給されてない。
16歳未満の扶養親族を多く抱えている外国人は注意が必要だ。
平成23年度より扶養控除の対象では無くなっており、平成24年度も同様なので、本人にきちんと説明しておかないとトラブルの基となるだろう。
最後に、外国人で扶養親族が海外に多くいる場合は、年末調整ではなく確定申告をするよう勧めたい。
必要書類の確保もそうだが、住民税をかける市区町村役場でも、源泉徴収票だけでは扶養親族がわからないので、必ず問い合わせが来る。
従って、事前に確定申告書にそれらの書類を添付しておけば、役所の方に書類が回るので二度手間の問い合わせ等は無くなるだろう。
にほんブログ村
| 所得税・所得控除及び税額控除 | 10:07 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| | 2014/02/02 18:41 | |