米 キューバと国交正常化交渉開始へ12月18日 4時23分
アメリカのオバマ大統領は、1961年に国交を断絶し、50年以上にわたって経済制裁を科してきたキューバに対する政策を抜本的に転換し、貿易や渡航の制限を緩和して、国交正常化交渉を開始すると発表しました。
オバマ大統領は17日、日本時間の18日午前2時すぎから、ホワイトハウスで国民に向けた演説を行いました。
この中で、オバマ大統領はキューバとの関係について「50年以上にわたる政策の最も重大な転換を行い、これまで失敗してきた時代遅れの手法を終わらせる」と述べました。
その上で「新たな章の始まりだ。関与を通じてキューバ国民を支援し、われわれの価値を促進できると確信している」と述べ、キューバに対する政策を抜本的に転換する方針を表明しました。
具体的にはキューバとの間で国交正常化交渉を直ちに開始するほか、数か月以内に、キューバの首都ハバナにアメリカ大使館を設置するということです。
さらにキューバへの渡航や送金を緩和するとともに、原則として禁止してきたアメリカ製品の輸出を建築資材や携帯電話など一部について認めるとしています。
また、オバマ大統領はキューバのカストロ国家評議会議長と前日、電話で会談したことを明らかにするとともに、キューバ人の工作員3人を解放する一方、キューバで投獄されていたアメリカ人ら2人が釈放されたことを発表しました。
アメリカはキューバ革命などを受けて1961年に国交を断絶し、経済制裁を科すなど対立関係にありました。
ただ、オバマ大統領はキューバへの制裁を強化したブッシュ前政権の封じ込め政策を見直し、制裁の緩和を進めてきました。
オバマ大統領としてはキューバの民主化を促すとともに任期が残り2年となるなか、みずからの功績としたいねらいがあるとみられます。
これに対し、アメリカ議会からは「キューバはテロ支援国家だ」などとして反発も出ていて、オバマ大統領の対話を重視する外交政策が成果を出すのか注目されます。