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【出光、昭和シェル買収交渉】
海外に飛び出す布石 石油業界さらなるの再編必至 コスモは、東燃は…
「1社だけで処理能力を削減しても、コストが増えるばかりだ…」
出光興産の首脳は、規模縮小による収益性の悪化をこう嘆いた。
経産省が石油元売り各社に原油処理能力の削減を求めたことを受け、出光興産は千葉製油所(千葉県市原市)で日量5万~6万バレルの能力を削減する方針でいる。他社も国内の製油所の能力を削減する考えで、悩みは同じだ。
単独で過剰設備を解消すれば縮小均衡に陥る。今後も処理能力を削減していけば、さらなる規模縮小とそれに伴う収益性悪化という“負の連鎖”にはまりかねない。
このため、石油元売り各社が今後の成長の核に位置付けるのが海外事業だ。「規模を拡大できなければ海外の投資力で後れを取る」という危機感が、出光と昭和シェル買収交渉の背中を押した。
出光はベトナム北部で日本の石油元売りで初となる海外での製油所を建設中だ。11月にはインドネシアの石炭会社の株式を追加取得するなど、資源事業にも力を入れる。昭和シェルの買収が実現すれば、さらに海外事業を強化できるとの読みがある。
一方の昭和シェルも筆頭株主の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルとの兼ね合いから独自での海外展開が難しい問題を抱えていた。出光のTOB(株式公開買い付け)に応じれば、製品輸出など経営の自由度が増す。