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【衝撃事件の核心】
禁断の領域「朝鮮総連」に足踏み入れ〝墜ちた〟国税調査官 傘下団体元幹部と飲食、韓国旅行…情報漏洩
「ありがたい存在」
ただ、商工会の幹部らによる税務業務そのものが違法となるケースも少なくない。
平成20年、無資格で税理士業を行ったとして、税理士法違反容疑で東京都新宿商工会の元幹部が逮捕された。同様の事件は京都、兵庫、北海道でもあった。
ある国税OBは「商工会絡みの税務調査では、表向きは税理士を立てても、実態は無資格の幹部らが処理しているとのうわさが絶えない」と打ち明ける。
一方で、商工会のような反国税団体の傘下業者を税務調査する場合、国税側が「脅迫まがい」の圧力を受けることもある。関係者によると、反国税団体と向き合う税務署員にとって、調査を円滑に進めるための交渉窓口になる元幹部のような人物は、良好な関係を築くことができれば「非常にありがたい存在」という。
同様に商工会の顔役的な存在だったという元幹部にとっても、税務署員が握る税務調査の情報は魅力的だったに違いない。佐土原被告と元幹部の利害が一致したことが関係の深化に拍車をかけたのかもしれない。
京都府商工会は産経新聞の取材に「担当者がいないのでお答えできない」としている。
「特調」への誘惑
佐土原被告は平成23年7月に伏見税務署に異動して以降、所得税などを扱う個人課税部門に所属。その中でも、非協力的な悪質納税者を相手にする「特別調査」を担当していた。
調査自体が困難な「特調」は、かつて税務署の花形部署といわれた。国税本局でも強制調査の権限を持つ査察部(通称マルサ)と双璧(そうへき)をなすのが、本局のエース級が任意調査で多額の所得隠しをあぶり出す「資料調査課(料調)」だ。