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【出光、昭和シェル買収交渉】
「削減案を示せ!」競争力向上へ“官製再編”経産省、業界に再編迫る
20日明らかになった出光興産と昭和シェル石油の買収交渉。背景には再編で国内企業の競争力を高めたい政府と、成長が期待できる海外事業を強化したい両社の思惑がある。
「10月までには原油処理能力の削減案を示してほしい」。経済産業省の幹部は7月、「産業競争力強化法」に基づき、過剰設備の解消とそれに伴う製油所の再編を、石油元売り各社に強く迫った。
安倍晋三政権は成長戦略の柱として産業競争力強化法を今年1月に施行した。企業再編や新たな設備投資を促す仕組みを作り、企業の競争力を高める狙いだ。
石油業界は平成22年にJXホールディングスが誕生して以来、本格的な再編が進んでいない。しびれを切らした経産省は同業界に対して同法を初適用。28年度末までに元売り各社の原油処理能力を1割程度削減することを求め、再編に向け圧力をかけ続けた。
これに対し、業界内では「(再編は)個社が判断すること」(石油連盟の木村康会長)などとして反発する向きもあった。
しかし、産業競争力強化法は再編が不十分な場合には企業に改善命令を出せる一方、再編する企業には税制優遇もある。経産省はこうした「アメとムチ」(幹部)を巧みに使い分けながら、業界に再編を迫った。