原油価格の急落を発端に、ロシアのルーブルなど産油国の通貨や株価が軒並み暴落したが、金融パニックの“元凶”と指摘されているのが中国の存在だ。これまで過剰な開発や投資で石油を「爆食」し、市場価格を引き上げてきたが、ここにきて内需の低迷を示す経済指標が相次ぐなど成長路線に急ブレーキがかかり、エネルギー需要も減少しているというのだ。中国経済はこのまま衰退への道をたどるのか。
ルーブル暴落を引き起こした原油価格急落については、米国とサウジアラビアによるロシア潰し、はたまた石油輸出国機構(OPEC)による米国のシェールガス潰しなど、さまざまな憶測が飛び交っているが、こと実体経済の面で考えると、最大の要因と考えられるのが、実は中国だ。
今年7月ごろまで1バレル=100ドルを上回っていた原油価格が一気に50ドル台にまで値下がりしたことについて「中国の需要減退が引き金となった」と指摘するのは、週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏だ。
「ここ数年の原油価格の上昇は、中国の原油需要の拡大と連動している。このため、今回の原油価格の急落も中国経済の冷え込みが大きな要因だと判断できる」というのだ。
原油価格の暴落が中国経済の悪化を証明しているとみることもできそうだ。
中国の内需低迷を示す指標も相次いでいる。英金融大手HSBCが発表した12月の製造業購買担当者指数(PMI)速報値は49・5となった。11月の確定値50・0から下落し、景気判断する節目となる50を7カ月ぶりに下回った。住宅市況の悪化が響き、製造業の勢いも弱い。HSBCのエコノミストは「国内需要が大きく低迷している」と分析した。