東京電力は20日、福島第1原子力発電所4号機の使用済み核燃料プールから全ての核燃料を取り出した。2011年3月の東日本大震災直後、最も危険との見方があった4号機の取り出し完了で、廃炉に向けた工程が一歩前進した。放射線量の高い1~3号機の核燃料取り出しを計画通り進められるかが、今後の焦点となる。
4号機は大震災後、水素爆発により、建屋が大破した。余震などでプールの底が抜ければ水がなくなり、使用済み核燃料が溶けて大量の放射性物質が拡散するリスクが指摘されていた。国内外の懸念を払拭するには、プールにある核燃料を安全な場所に移す作業が急務だった。
東電は昨年11月からプールにあった約1530体の核燃料の取り出しを始めた。20日までに残りは未使用燃料4体だけとなり、20日午前に専用の容器に納めた4体をクレーンでプールからつり上げた。がれきの撤去から遡ると、約3年かかった4号機の取り出しが完了し、福島第1原発の廃炉は一つの節目を迎えた。
4号機は今後5年から10年ほどかけて、施設から放射能が減るのを待った上で解体・撤去し、最終的に更地に戻す。取り出した未使用燃料をどう処分するかも課題となる。
東電は15年度には3号機の取り出しを始め、1、2号機も早ければ17年度に作業に着手する考えだ。まず除染によって放射線量を十分下げ、取り出しに必要な機器を設置。4号機で得たノウハウを使い、遠隔操作を中心に取り出しを進める。
その後、最も難易度が高い溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し作業に入る。デブリはどこにどのような状態であるかも正確に把握できておらず、削り取るなどする際に専用の技術を開発する必要がある。福島第1原発の小野明所長も「(デブリの取り出しには)先の見えないところがある」と認める。
30~40年かかる廃炉の工程の中でも、核燃料の取り出しは最も重要な作業となる。4号機でその関門を突破した東電だが、1~3号機を含めた取り出し完了にはなお課題が山積している。