「百田尚樹」と「猪瀬直樹」の二本樹を検分した
忘年会ラッシュの中日に微妙な記事を短時間にたくさん仕上げるという修羅の日々がありました。
百田尚樹とかいう2015年ビッグバン期待のオールドルーキー――山本一郎【香ばしい人々returns】
http://hbol.jp/17055
猪瀬直樹、あるいは傲慢な物体
http://ironna.jp/article/740
作家が作家で終わっていれば皆が幸せだったのに、なぜ十字砲火を喰らいに政治の世界へ入ってきてしまうのだろうという適例が2つ立て続けに出てきてました。似たようなレトリックになってしまうのは申し訳ないんですけれども、百田尚樹さんの本も猪瀬さんの本も個人的には好きです。とりわけ、猪瀬さんの道路関連への取り組みは某経済誌の連載もくまなく読むほどのファンだったものですから、「なぜ、作家以外の、明らかに向いてない世界に足を踏み入れるのだろう」というのは非常に興味深いというか、名誉欲や権力欲というのはどういう方向に発露するか分からないものだなあと思うわけであります。
去年、まさに猪瀬さんのスキャンダルが出る最中に東京五輪の成功を自ら祝った本が出てきて、それまた名もなき協力者には余りスポットが当てられておらず、「これはなあ」と思った本であります。リンクは置くけど買う必要はないよ、駄本だから。でもそれまでは、『昭和16年の敗戦』を筆頭に、面白い本はいっぱい書いていたのが猪瀬直樹です。それが、一歩政治の世界に入った結果、とても名誉の回復が難しいような無能を晒してしまうのは勿体無かったと思うわけです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4569816932/
一方、百田尚樹というのは一見上り坂だけどこれから社会の断頭台に向かう列にあり、そのはげ頭が輝くのを見晴るかしながらいろんなことを思います。すべてが進行形で、劇場型ベルトコンベアーみたいになってて、座ってるだけで回転寿司のようにいろんなネタが流れてきて百田さん面白いです。だんだん話が過激な方向へ、そしてシャレにならない内容へと変化していくあたりがまた素敵です。
そりゃあ当然、利権争いや主導権争いの類ですから、一度入り込んだ以上、頑張って最後まで生き残らなければ何も為せないのもまた理解できます。ただ、その「百田尚樹が売れる作家だ」と判断しているものだから、本来であれば嬉々としてぶっ叩くはずの週刊誌も利権に預かれる預かれないで紅組と白組に分かれて球の投げあいをしているので程度も分かろうというものです。もうこれは遠くから見ているしか方法がないのではないでしょうか。どうでもいい話ですし。
ハーバービジネスの百田さん原稿には、岩崎夏海さんの件は触れませんでした。
『もしドラ』はなぜ売れたのか? 岩崎夏海 東洋経済 |
岩崎さんの近著が「『もしドラ』はなぜ売れたのか?」という、おそらく文芸を読みたい人にもネットネタを追いたい人にも全然刺さらないただのハゲ好き専用アイテムになっています。っていうか、なんで雨傘差してんだよ。陰鬱すぎんだろ。人間として終わりすぎていて、百田さんの議論にかこつけてちょっと正面からいじるには格落ち感がどうしてもあって困ります。もうダメなんでしょうか、彼は。頭を磨き直して復活して欲しいと切に願っています。
つまらないけど一応アフィリンク置いておきますね。
こちらからは以上です。