NNNドキュメント「シカとスズ 勝者なき原発の町」
2014年12月21日(日) 24時59分~25時54分 の放送内容
- リモート録画予約ご利用について
- ビエラおよびディーガをお持ちの方が対象です。
ご利用にあたり、ディモーラの会員登録(無料)や機器設定が必要です。
※ディモーラはパナソニック社が提供するサービスです。 - リモート録画予約をする - ディモーラ (新しいウィンドウが開きます)
- 使い方を詳しく見る
今後このメッセージを表示しない
<前の放送
2014年12月21日(日)
次の放送>
最終更新日:2014年12月15日(月) 11時0分
原発の建設計画をめぐり、かつて住民同士が争った石川県の志賀町と珠洲市。原発とその誘致は地域に何をもたらしたのか?原発再稼働の動きが進む中、その功罪を検証する。
番組内容
石川県の能登半島には、長年「原発」と向き合ってきた2つの自治体がある。原発の誘致により、巨額の交付金などを得てきたものの、福島第一原発の事故などの影響で運転停止状態が長期化している志賀町(しかまち)。もう1つは、建設計画をめぐって住民同士が長年対立した末に、原発ができなかった珠洲市(すずし)だ。原発と地域のあり方や人々の心の有り様を見つめ、立地地域と建設候補地にもたらした原発の功罪を検証する。
出演者
- ナレーター
- 中里雅子
制作
テレビ金沢
その他
- 属性情報?
-
- ジャンル
- ドキュメンタリー/教養 - ドキュメンタリー全般 ニュース/報道 - 特集・ドキュメント
番組詳細説明(内容)
【見どころ】
石川県の能登半島には、長年、「原発」という巨大事業と向き合ってきた2つの自治体があります。1つは原発の誘致により、巨額の交付金などを得てきたものの、運転停止状態が長期化 している志賀町(しかまち)。もう1つは、建設計画をめぐって住民同士が長年対立した末に、原発ができなかった珠洲市(すずし)です。
福島第一原発の事故発生から3年半以上が経過し、自民党政権=安倍内閣が原発の再稼働を進める方針を打ち出す中、2つのまちは今後、どのような道を歩むのでしょうか?
そして、原発の問題に翻弄されてきた住民は何を失い、何を得たのでしょうか?
過去を振り返りながら、原発と地域のあり方や人々の心の有り様を見つめます。
【内容】
■過疎と原発計画
「原発を誘致し、地域を活性化させたい」
過疎に歯止めをかけたい自治体と、原発の立地を進めたい電力会社との思惑が合致し、志賀町では47年前、珠洲市では39年前にそれぞれ具体的な建設計画が浮上。しかし、反対運動も起こり、いずれも地域を二分する対立が生じました。
珠洲市では1989年の立地可能性調査着手を機に、住民同士の対立が激化し、親子や親戚の仲さえも引き裂く事態となりました。ところが、計画浮上から28年後の2003年に電力会社は経営判断で凍結(中止)を決定。電力会社が撤退した後も地元には推進派と反対派との深い溝が残り、住民同士がいがみ合っていた間に、過疎はより深刻な状況になっていたのです。
■原発がある町の“光と影”
一方、原発の立地に漕ぎつけた志賀町が受け取った原発絡みの交付金は約220億円、固定資産税の収入は約520億円にも上ります。そうした「原発マネー」により町の財政は潤い、温泉や屋内プールなど、様々な施設も建設されてきました。
しかし、志賀原発ではトラブルや問題もたびたび発生し、住民を振り回してきたほか、3年前の福島第一原発の事故後には、原子炉直下の活断層疑惑も浮上。再稼働のめどが全く立たないどころか、一転、廃炉となる可能性も出てきています。
そのため、今後の交付金や固定資産税収入の先行きも見通せず、原発マネーで建てた様々な施設の維持管理費がかさむなど、地元の経済に暗い影を落としています。
■原発依存からの自立
テレビ金沢が志賀町民を対象に実施したアンケートでは、志賀原発の再稼働については容認派が反対派をやや上回りましたが、今後のまちづくりについては「徐々に原発から自立していくべき」という人が半数を占めました。しかし、町の活性化に向けては「企業誘致に力を入れるべき」と答えた人が40%と最も多く、結局は何かに頼らざるを得ない状況となっています。
止まらない過疎の流れ
【志賀町】 2010年 22,216人 → 2040年 12,079人
【珠洲市】 2010年 16,300人 → 2040年 6,625人
これは今年5月、日本創成会議が発表した総人口の試算。2040年までに20〜30代の女性が半減する、いわゆる「消滅可能性都市」に896の市区町村が該当し、そこには、志賀町と珠洲市も含まれていました。このままだと総人口は志賀町も珠洲市も、約1万人減ることになります。かつては過疎に歯止めをかけようと全国各地で誘致した原発ですが、それでも歯止めがかけられないほど、過疎の問題は深刻だったのです。
■2つの町は何を失い、何を得たのか?
珠洲での原発計画が中止となった後、反対派の住職 塚本真如さんは「勝ち負けはない、原発問題によって自分の力で考えてモノを生み出そうという思考力が欠落させられた」と語りました。そして、計画中止から丸10年が経過した今も、珠洲市ではこれと言った振興策を打ち出せないでいます。ただ、豊かな自然だけは残りました。
一方、志賀町の建設会社社長 石村高志さんは、農家の高齢化や担い手不足によって耕作放棄地が増えていることに目をつけ、農業分野に参入。雇用を生み出して町の活性化を図る取り組みをスタートさせました。石村さんは「原発があることで、お金だけをもらったことによって、自分たちがやらなければならないことを見失った時期があるのかも知れない」と語ります。
志賀町ではそのほかにも、都会の女子大学生を招いて新たな観光や町おこしのプランを作るなど、町の将来を見据えた取り組みが動き出しています。原発の運転停止が長期化する中、
一部の住民たちの意識に変化が表れてきました。
全国各地の原発立地自治体は、それぞれ、地域住民の対立を経て立地に漕ぎ着けた経緯があり、福島の事故を経た今もなお、大半は再稼働を待ちわびている状況です。
今般の第2次安倍改造内閣は、「地方創生」を重点施策に掲げ、都市ではなく地方へと目を向けています。原発再稼働の動きが加速する中、立地地域や建設候補地にもたらした原発の功罪を検証し、過疎が進む地域における「豊かさ」とは何なのか、問いかけます。
<前の放送
2014年12月21日(日)
次の放送>