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<根室高潮>内陸300mまで…地形も影響か 国交省調査

毎日新聞 12月20日(土)21時53分配信

 北海道根室市で発生した高潮のメカニズムについて、国土交通省の専門家は20日、低気圧が北から張り出した寒気の縁に沿うような形で広範囲に発達し、海面を盛り上げるなどの複合的な要素が作用したと分析、背景には「根室市の地形的な影響などが関与している可能性がある」との見解を明らかにした。

【図解】こうして起きた 根室の高潮メカニズム

 国土技術政策総合研究所の熊谷兼太郎主任研究官らが2日間にわたって現地で調査した結果、高潮による主な地点の浸水高は1.9〜2.5メートル。浸水域は最大で約300メートル内陸まで達していた。一部では排水溝からの逆流なども生じたという。

 熊谷氏は、根室市が北側を国後島、東側を歯舞群島と色丹島に囲まれた位置にあることに着目。(1)発達した低気圧が居座ることによって海面が盛り上がる「吸い上げ効果」(2)継続的に強風が吹き付けることによって生じた「吹き寄せ効果」(3)波が繰り返し陸にぶつかる「波の効果」−−の三つが複合的に働いた可能性があると分析した。

 熊谷氏は「細長い水路のようになってたまった海水が(国後島方面からの風で)付け根に当たる根室に集まったと考えられる」と話した。

 気圧の低下による海水の吸い上げと強風による吹き寄せで海面が高くなる海面上昇の「最大潮位偏差」は約1.5メートルと推定された。死者・行方不明者5098人を出した伊勢湾台風(1959年)の3.45メートルに比べて規模は半分以下だが、熊谷氏は「過去に根室近辺で発生した中では顕著な数字」と述べた。【本間浩昭】

最終更新:12月20日(土)23時6分

毎日新聞

 

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