東京電力は20日、福島第1原子力発電所4号機の使用済み核燃料プールから全ての核燃料を取り出す作業を終えた。重要な工程の一つが計画通りに完了したことで、30~40年かかる廃炉作業が一歩前進した。ただ、放射線量の高い1~3号機からの核燃料取り出しは簡単ではなく、円滑に進むかは不透明だ。
東電は20日午前、4号機の核燃料の取り出し作業を報道陣に公開した。東日本大震災がおきたときにプールにあった1535体のうち、最後まで残っていた未使用燃料を20日までに容器に収め、クレーンでプールからつり上げた。近く安全な6号機のプールに移せば、年内をメドとしていた取り出し工程が終わる。
福島第1原発の小野明所長は作業公開後、記者団に「一つの節目を迎えたが、まだ廃炉の作業は長く続く。気を緩めずにやっていきたい」と述べた。
4号機は事故発生時、定期検査中で全ての核燃料がプールに移されていた。津波で電源を失い、一時はプールの冷却を維持できなくなったため、余震でプールの底が抜ける事態などになれば、使用済み核燃料が深刻な状態になると懸念されていた。「福島第1原発の中でも最もリスクが高い」との見方が国内外から出ていた。
東電は2011年11月からがれきの撤去を始め、核燃料を取り出す準備に着手。約4000トンの大量の鋼材で専用の設備をつくったうえで、昨年11月からは1~3号機より先行して取り出しを始めた。事故で壊れた原発から核燃料を取り出した例は世界でもほとんどなく、慎重に作業を進め、約1年で完了にこぎ着けた。
今後は残る1~3号機からの取り出しに重心を移す。それぞれ15~17年度以降の取り出し開始を検討しているが、4号機では直面しなかった課題も多く、準備作業は難航している。福島第1原発全体で核燃料取り出しが終わる時期はなお見通せていない。
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