2014年12月18日10時45分
●20キロ圏外の112世帯 賠償追加求め
東京電力福島第一原発から20キロ圏外に住む川内村の住民112世帯259人が来月下旬、東電に精神的損害賠償の支払いの追加を求めて原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)に和解の仲介を申し立てる。住民側代理人が17日、朝日新聞の取材に明らかにした。
川内村は原発事故後、第一原発から20キロ圏が警戒区域(160世帯353人=2012年4月当時)に、20キロ圏外が緊急時避難準備区域(961世帯2675人)に指定された。同区域は11年9月に解除され、区域住民には1年後の12年8月まで1人当たり月10万円の精神的損害賠償が支払われていた。
代理人によると、支払い打ち切りから和解成立まで1人当たり月20万円の支払いの追加を求める。村内の住民がADRに集団で申し立てるのは初めて。
申し立てる住民の1人は増額の支払いを求める理由について「買い物や仕事で頼っていた隣の富岡町や大熊町の大半は帰還困難区域のままで、以前の川内村の暮らしには戻れない現状がある。多くの村民が家族離れ離れの生活をいまも余儀なくされ、山菜採りなどの楽しみも奪われている」と説明する。ADRへの申し立て後も来年4月ごろまで申立者を集めるという。
村の旧警戒区域は今年10月に居住制限区域が避難指示解除準備区域に再編され、避難指示解除準備区域は避難指示が解除された。旧避難指示解除準備区域の住民への精神的損害賠償の支払いは解除から1年後に打ち切られるものの、村内で賠償額に大きな格差があることから、20キロ圏外の住民の多くには不満が残っていた。