富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

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第13話を見て、『ガンダム Gのレコンギスタ』は富野由悠季が若者に送るエールだと改めて実感しました

2014/12/19 15:53|GのレコンギスタTRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 第13話を見て、『ガンダム Gのレコンギスタ』は富野由悠季が若者に送るエールだと改めて実感しました
 『ガンダム Gのレコンギスタ』はガンダムシリーズの最新作であり、富野由悠季監督の最新作でもあります。2014年12現在、MBS・TBS・CBSやインターネット配信で好評放送中です。なお、1月からBS11も第1話から放送する予定です。

 放送前から、富野監督の「子供たちに見せたい」発言で大きな話題となっているこのG-レコですが、その第13話を見て、『ガンダム Gのレコンギスタ』は富野由悠季が若者に送るエールだと改めて実感しました。今回はこのメッセージについて少し説明したいと思います。



1、若者たちは議論よりも、行動することを選ぶ

 第13話のラストで、アイーダはメガファウナを率いて、月に行くと決意しました。月にはフォトン・バッテリーやキャピタル・タワーなど現在の世界構造に関する根源があり、またヘルメスの薔薇の設計図、レコンギスタに関する真意、そして彼らの生まれの秘密が隠れているかもしれないからです。

 つまり、すべての問題を関するカギは、月にあります。

 今、戦争になるかならないかという一触即発の局面に対して、各陣営の高官たちは議論を重ねています。しかしそんな大人の議論をよそに、若者たちはまず動き回ることが決めました。

 グシオン総監もウィルミット長官も、そして今回の月から来たドレットも、一面的な認識しか持っていません。一面的な認識しか持たずにモノを考え、問題を解決しようとするのはありえませんし、そもそもするものではありません。

 認識を多面化するためには、見識を広めるしかない。だからアイーダは月に行くことを決めた。そしてベルリもそれに乗っかって、宇宙へ飛び出します。月には行くし、金星にも行くかもしれません。これが監督である富野がこの作品をロードピクチャーと呼んでいる理由です。

 戦争が始まるかもしれないのに旅をするなんて、なんという暢気な展開、と批判してくる人はいるかもしれません。しかしながら、そのまま宇宙戦争をやり始めるよりははるかに良い選択です。

 戦争を背景に、戦場をくぐり抜け
まったくリスクがないわけではありません。

 これから彼らは世界にあるものを見つめるために、旅に行きます。上手く行く保障なんてありません。途中で犠牲になる人もいるかもしれません。それでも真実の意味を見つけるときまでは、おそらく彼らは歩くことをやめないのでしょう。これが若者というものです。

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2、マスクとクリムたちだってそう

 メガファウナの艦長はドニエル・トスさんというアメリアの軍人ですが、船に所属しているアイーダは明らかに身分が上なので、そのメガファウナの方針も微妙にアイーダ姫様に影響されています。また、アイーダがアメリアのなかでもアウトローをやりたがっているので、メガファウナは(良くも悪くも)独自の判断で動き回れます。

 対して、クリムとマスクらは違います。彼らは単にそれぞれアメリア軍とキャピタルアーミィ出身ではなく、その行動にも積極的に参与しています。無邪気なベルリと無謀だがまっすぐなアイーダと違って、彼らは明確に野心をもって組織に身を投じています。

 一見、それは彼らがプライドとサクセスを掴むための自発的な行動ですが、事実はむしろ逆です。なぜならば、これは今までの大人たちが作ってきた軌道に乗っかっているに過ぎません。クリムは明らかに愚民政策をやりたいですし、マスクだって偉い人に利用されているだけかもしれません。そんなんでは、かえってプライドとサクセスから遠のくことだけになります。

 今まで考えなしにやってきた人たちをマネして、本当の変わろうとする世界に面して、成功するわけがありません。

 とはいえ、彼らも若者です。第13話を見れば分かるとおり、マスクもクリムも、ベルリとアイーダをはじめとしたメガファウナの連中に触れると、大人たちに真似して得たその力と狡猾さを忘れたかのように、バカになります。なぜバカというと、今まで培ってきた大人たちの知恵を無視されたからです。そしたら、今度は彼らが自分の頭で考えるしかありません。

 もちろん、若者が考えられるものはたかがしれます。しかしこれでいいです。若者は失敗をしつつ成長するものです。主人公のベルリだって人生最大のミステイクを二回ほどやっちゃったんです。彼は本性が今でも第1話のままですが、少しずつではあるが成長してくれています。

 すでに組織に身を置かれているクリムとマスクは、メガファウナに合流しないかもしれません。しかし、共に行動することは彼らにとって貴重な機会であるのに違いありません。なぜかというと、そこには「違う感性」がいるからです。メガファウナは、物事を単純に運びたい人たちにとってはあまりにも猥雑なところです。が、そんな場所は、若者たちを逞しくにさせてくれます。

 では、パートナーであるバララとミックは? 答えは単純です。単に自分たちが見込んだ男たちについていきます。未来のある男であれば、たとえどんな道を歩けようと、共についていきます。利己的な一面があるにせよ、そこもまた愛らしいです。

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3、帰る場所で待ってくれる女の子たち

 ラライヤは記憶が戻るのにつれて、MSに乗り戦場に出るかもしれません。そうなると、今まで子守をやってきたノレドはいきなり開放されることになります。そのとき、ノレドは自分がやれることを見つからなければなりません。

 しかし、ノレドには戦いが無理です。操縦技術からもそうですし、何より信仰のために戦い自体が嫌っています。でも、連れ添い(になってほしい人)であるベルリは、戦うことに選びました。

 では、彼女にできるのは果たしてなんなんだろう。それは、ベルリを信じて待つことです。

 劇中の描写を見れば、彼女は好きな男の子についてくれる、家で待ってくれる女の子です。メガファウナという船も今や彼女にとって家みたいなものなので、メガファウナで巣を作って、ベルリが帰るときに安心に休める場所を作るのは、まさに彼女がするべきことです。

 でも、その前にまず彼女自身も成長しなければなりません。新しいやるべきことを見つからなければなりません。バララやミックと違って、自立しない女は男を支えようがありません。そういう意味では、マニィも同じです。マスクにはバララという戦場上のパートナーがいます。これはどう抗えても変えようがない事実です。だったら、マニィも辛抱を持って健気に自分のやるべきをやるしかない。

 女性に家で男を待てというのは何事だ!と荒く人もいるかもしれませんが、そういう女性はいてもいいです。前線に行って男たちをぐいぐいと引っ張る女性もいれば、控え目で別の形でサポートする女性だっています。これもまた、世代を重ねるための真理です。

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4、月からも仲間がいてもいい

 第13話に名前が出てこないが、ロックパイと呼ばれている青年が出てきます。また、14話にさらに別の青年パイロットが出るかもしれません。この2人はどうやらトワサンガに所属しているパイロットです。常識に考えて、敵対にある相手です。

 しかし、ロックパイは地球人の考えなしの暴挙に対して「義憤を感じられる青年」であることには、見逃して欲しくないものです。それはつまり、彼には理想を抱いています。それも若さゆえの純潔さから来ているものです。

 若者は時にそれによって操られやすいですが(マスクのように)、逆にいえば見方を変えれば、そのまっすぐさをもっと広く外に向けて広めることができます(ベルリのように)。そうすれば、敵だった者であっても、協力者になれるかもしれません。

 もしその局面がくることであれば、彼らは軍を脱走するかもしれません。あるいは、捕虜になるかもしれません。ある意味は極めて厳しいことに直面しなければなりません。しかし理想を持っている若者ならば、できるはずです。同行の動機について、たとえそれが世直しじゃなく、ただ船にいる女の子に一目惚れというものであってもいいです。ベルリだって初めてはそうでしたが、それでも前に向いて歩けたんです。

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5、エンディングが暗示しているもの

 ラインダンスの面子を見れば、今のところ一人を除けば、全員が登場しています。モブやサブキャラなどの脇役も含まれていて、制作的な都合で出せなかった後半にもキャラが出てくるとはいえ、基本的に彼らは今回『Gのレコンギスタ』という作品を動かすキャラでしょう。

 ベッカーもジュガンも、それからドレッドもブロッキンも出てこないのは、おそらく敵だからとかの都合ではありません。彼らは古い時代を代表するようなオールドタイプだからです。この視点で法王様とクンパ大佐、ママなどの指針となるキャラを考えるといろいろ面白いですが、本文の趣旨はそこではなくので触れません。

 ラインダンスの面子はそれぞれこうなっています。

クンパ、ゲル、マスク、クリム、グシオン、ルアン、オリバー、ドニエル、ハッパ、副長、アダム・スミス、ケルベス、ロックパイ、ベルリ

アイーダ、ステア、ウィルミット、マッシュナー、?、バララ、ミック、ギゼラ、アネッテ、マキ、キラン、マニィ、ラライヤ、ノレド

 ラインダンスに出てくる人達は死なない、という説も存在しています。しかし、その保障はどこにもありません。途中で、脱落していく人もいるかもしれません。

 それでも、彼らは動き回ります。あらゆる人たちが手と手を取り合って、和を作り、未来を築く。これはあのエンディングの映像が伝えようとするものではないでしょうか。

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結論:大人である我々がすべきこと

 この文章を読んでいる方のなか、大人の視聴者もきっと少なくないでしょう。作者である富野監督が伝えようとするものは以上のとおりです。では、すでに老成した我々は見てどう答えるべきでしょうか。

 答えは簡単です。自らの過ちを認め、それを若者に押し付けをせず、彼らの成長を見守りつつ、それを応援することだけです。それだけで充分です。『ガンダム Gのレコンギスタ』は富野由悠季が若者に送るエールです。その作品もそのように出来ています。アニメは娯楽ですから、そこから教訓や道理を感じ取る必要はありません。

 それでも、このGレコはなぜこんなに面白くても面倒くさい構造になっていることについて、本当に視聴者の皆さんにも考えていただきたいです。そうすれば、面白さから来た満足感を獲得したと同時に、少しばかりの滋養も得られるかもしれません。もしそれが出来たら、きっととっても嬉しいことでしょう。

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