ソニー映画:サイバー攻撃への北朝鮮の関与 米国が認定

毎日新聞 2014年12月20日 03時05分(最終更新 12月20日 03時08分)

公開中止となった映画「ザ・インタビュー」のポスターをはがす人=米ジョージア州アトランタで17日、AP
公開中止となった映画「ザ・インタビュー」のポスターをはがす人=米ジョージア州アトランタで17日、AP

 【ワシントン和田浩明】米連邦捜査局(FBI)は19日、ソニーの映画子会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE、本社ロサンゼルス)へのサイバー攻撃について「北朝鮮政府に責任があると判断するのに十分な情報を入手した」と発表した。今回の事件を含むサイバー空間での攻撃を「米国の国家安全保障上、最も深刻な脅威の一つ」だと指摘し、実行犯に「責任を取らせる」と、対抗策を取る可能性を示唆した。

 米国政府がサイバー攻撃で外国政府を名指しして非難するのは異例だ。これまでは北朝鮮の核兵器や長距離弾道ミサイルを国家安全保障上の主要な脅威としてきたが、サイバー攻撃の脅威も重視する姿勢を打ち出した。

 核問題をめぐる6カ国協議の再開など、日本にも関連する外交課題に影響を与える可能性がある。

 SPEは北朝鮮の金正恩第一書記の暗殺を題材にした映画「ザ・インタビュー」を制作。クリスマス休暇に合わせ25日に公開予定だった。だが「平和の守護神」を名乗るハッカー集団が11月下旬に同社のコンピューター網を攻撃。数千台のコンピューターが使用できなくなり、大量の社内文書や個人の情報が盗まれた。実行犯が映画館に対するテロ攻撃を示唆したため、同社は17日、封切りの中止を発表していた。

 FBIは北朝鮮政府の関与を認定した根拠として(1)北朝鮮が過去に使用した攻撃用ソフトウエアと類似のソフトが使われた(2)北朝鮮と関連しているIPアドレス(コンピューターのネットワーク上の住所)が、攻撃ソフトに含まれていた(2)3月に韓国の銀行やメディアを標的にした北朝鮮の攻撃と、類似性があった−−ことなどを挙げた。

 そのうえで、今回の攻撃は米国企業に大きな損害を与え、米国市民の表現の権利を抑圧することを意図しており、他の攻撃とは一線を画していると指摘。「国家の行動として受け入れられる範囲を超えている」と、北朝鮮政府を批判した。

 米国では今年5月、中国の人民解放軍関係者5人が、サイバー攻撃による知的財産の盗難に関与したとして刑事訴追されている。

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