稲本　札幌入り決定、２０日に正式発表　小野と元代表共演実現

札幌に移籍が決まった稲本（左） Photo By スポニチ

　Ｊ２札幌が獲得を目指していた元日本代表ＭＦ稲本潤一（３５）の入団が１９日、決まった。２０日に正式発表される。川崎Ｆと契約が満了になった稲本については福岡との一騎打ちの様相を呈していたが、条件面での不利を覆して獲得にこぎ着けた。獲得交渉に直接出馬した野々村芳和社長（４２）は報道陣に対応して、喜びと期待感を口にした。

　待ちに待った吉報が届いたのは午後４時４９分だ。野々村社長は電話口の稲本本人に「ありがとうございます」とお礼の言葉を述べると「こちらこそありがとうございました」と返答があったという。通話時間わずか５２秒。稲本から預かった「ノリノリです」という言葉を披露した野々村社長は安どの表情を浮かべた。

　誠意、熱意が実った。１１月２３日、磐田との今季最終戦後、札幌ドームでファンに対してオファーを宣言。川崎Ｆの最終戦を待って今月７日に交渉に臨んだ。同じく獲得に乗り出していた福岡に条件面で劣勢に立たされたが前夜遅く、代理人から「札幌になりそう」と連絡を受け、この日になって本人の口から正式に受諾の言葉をもらった。周囲に積極的に発信しながら続けた異例の契約交渉。野々村社長は「金額の差を埋めるために、いろいろな人が“稲本、北海道に来てよ”と伝えてもらう必要があった」と明かした。

　稲本の加入で同世代、小野との共演が実現する。日本代表をともに引っ張ってきた２人が同じクラブに在籍するのは初めて。稲本自身交渉の席で「（小野）伸二とやりたい気持ちはある」と発言していた。野々村社長から稲本の入団を聞かされた小野も「おっ、来たか」と反応。かつてゴールデンエージと呼ばれた２人も３５歳。円熟の技を北の大地で披露する。

　クラブ側は戦力としてだけでなく、若手への影響力も期待している。ポジションは３バックの中央か、ボランチでの起用が濃厚だ。「（稲本は）まだ強さ、激しさがある。前へ行く迫力、推進力を伝えてほしい」と野々村社長。稲本の加入は、Ｊ１復帰へこれ以上ない補強となった。

　◆稲本　潤一（いなもと・じゅんいち）１９７９年（昭５４）９月１８日、大阪府出身の３５歳。Ｇ大阪ユースから９８年にトップチームに昇格。０１年にアーセナルへ移籍し、海外７クラブを渡り歩いた。１０年に川崎ＦでＪリーグ復帰。Ｗ杯は０２年日韓大会で２得点を挙げるなど、３大会連続出場。日本代表は８２試合で５得点。妻はモデルの田中美保。１メートル８１、７７キロ。血液型Ｏ。