2014年12月19日21時48分
STAP細胞の有無について、理化学研究所は納得いく説明ができたのか。19日、理研が開いた記者会見では「再現できなかった」と繰り返すのみで、歯切れの悪い説明に終始した。
「今回、存在の証明には至らなかった。これ以上の実験の意義は見いだせない」。STAP細胞の有無を明らかにする考えがないのかと問われ、坪井裕理事は答えた。
「200回以上、作製に成功した」「コツがある」。4月の会見で、そう主張した小保方晴子氏。会見に小保方氏は姿を見せなかったが、自身が行った検証結果が報告された。9月以降、45回以上再現実験を行った。だが、実験統括責任者の相沢慎一特任顧問は「どういうコツがあったのかは解明できなかった」と話した。
STAP細胞は、存在しなかったのか。相沢氏は答えに窮しながら、「科学者としてお答えできない。言えることは、再現することはできなかったということだ」と繰り返した。「どう判断するかは、科学の世界に委ねる」と話した。
このような事態を今後、どう防ぐのか。丹羽仁史チームリーダーは「難しい。科学は性善説にたっている。これまでのデータを信じた」と話す。
「共同研究者のデータを信じず、自分ですべてやって論文を出すのが望ましいか判断できない。こうすれば防げる、というのは言い切れない。互いの信頼の度合いによる。依存するしかない」
記者会見は2時間を超えた。相沢氏は終了後、退席しかけて突然振り返ると、再びマイクを手に報道陣に向かって話しかけた。
「今回の検証は、科学のやり方でない。犯罪者扱いは科学にあってはならない」。監視用モニターで監視しながら、第三者が小保方氏の実験に立ち会うという、異例の検証のやり方にいらだちをあらわにした。
小保方氏が再現実験をおこなったのは、特別に改修された理研の実験室だ。
広さは約25平方メートル。出入りは電子カードで管理され、入ってすぐの天井に2カ所、24時間稼働する監視カメラが据えられている。細長い部屋の左右には、実験台や棚などが並ぶ。細胞の培養器には鍵がかけられ、実験をする時には立会人もつく。理研によると、こうした改修などで550万円かかったという。
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