日米防衛協力指針:最終合意先送り 地方選への影響避ける

毎日新聞 2014年12月19日 22時59分

 日米両政府は19日、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の年内の見直し最終合意を見送り、「来年前半」に先送りする外務・防衛担当閣僚による共同文書を発表した。日本側には来年4月の統一地方選への影響を避ける狙いがあり、最終合意は5月ごろになる見通し。ただ、米側には先送りで「見直しの機運が低下するのではないか」との懸念もくすぶる。

 共同文書は、集団的自衛権の行使を容認した7月の閣議決定を踏まえ「指針の見直しと日本の法制作業との整合性を確保する重要性」を明記。「日本の法制作業の進展を考慮しつつ、明年前半における指針の見直しの完了に向けて取り組むため、議論をさらに深める」とした。

 年内の見直しが延期されたのは、日本側の政治状況による。安倍晋三首相は年内のガイドライン見直しを見据え、7月に集団的自衛権行使を容認する閣議決定に踏み切った。だが、改定作業と並行して行う予定だった安全保障法制を巡る与党協議は、11月の沖縄県知事選への影響を避けるため選挙後に先送りとなった。加えて、首相が同月、衆院解散に踏み切ったことで与党協議はさらに先延ばしとなり、見直しの「年内断念」につながった。

 政府は来春の統一選後に法案を国会に提出する方針で、江渡聡徳防衛相兼安保法制担当相は19日の記者会見で、「(法案提出と)できるだけ一緒にしたい」と述べ、5月ごろの最終合意を示唆した。

 一方、集団的自衛権の行使容認を求めてきた知日派のリチャード・アーミテージ元国務副長官は「多くを望みすぎたり、急ぎすぎれば良いものにはならないだろう。より大切なことは、正しいガイドラインにすることだ」と先送りに理解を示した。ただ、オバマ政権1期目に国防総省で東アジア政策の上級顧問を務めたカーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員は「春以降になるとやや機運が低下するのではないかとの懸念がある」と指摘した。【鈴木美穂、ワシントン西田進一郎】

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