個人情報保護法:改正案骨子 匿名化で第三者への提供OK

毎日新聞 2014年12月19日 21時18分(最終更新 12月19日 23時22分)

 政府は19日、来年の通常国会に提出予定の個人情報保護法改正案の骨子を公表した。購買履歴や移動情報など、企業に蓄積された個人の行動に関する情報(パーソナルデータ)について、匿名化した場合に本人の同意なしに提供できる条件などを盛り込んだ。今年6月に政府のIT総合戦略本部に設置された有識者検討会がまとめた大綱を大筋で反映させた。

 骨子は19日、有識者検討会に示された。パーソナルデータを当初の目的以外に使用することや、第三者に提供することが可能となる条件として、利用目的の変更や第三者提供があり得ることをあらかじめ本人に知らせておくことを掲げた。また、目的外使用や第三者提供を拒む方法を事前に本人に知らせたり、簡単にわかるようにしたりすることも条件に加えた。

 骨子は他に、既存の「特定個人情報保護委員会」を改組し、匿名化された情報の取り扱いに関する監督権限を与えることを盛り込んだ。さらに匿名化のための情報の加工方法について、同委員会が認定する民間の団体が、自主規制的に指針を定めることを認めている。

 一方、ベネッセの情報漏えい事件を受けた対応として、不正な利益を得ることを目的とする「個人情報データベース提供罪」を新設。国境を越える情報提供についても、海外の個人情報保護機関と連携し、個人情報保護法を適用可能にすることも明記した。

 委員からは「データを企業側に提供した個人は自分の情報がどのように扱われたかわからない。制度の深刻な欠陥になりうる」との意見も出たが、「早急に実現してほしい」などと賛意も相次いだ。

 現行法では、本人の同意なしで個人情報を提供できる例外規定は「生命、身体の保護が必要な場合」に限定される。日本新聞協会は5月、「報道との調整といった基本的議論がなされずに見直しに向けた議論が進められている」として報道機関への提供も例外規定に含めるよう求める意見書を検討会に提出していた。骨子はこれに言及しなかった。【岡礼子、本多健】

 ◇個人情報保護法改正案骨子のポイント

(1)個人情報の範囲を指紋や旅券番号にも拡充

(2)匿名性を上げた情報の利用規定の整備

(3)利用目的や第三者提供の制限の緩和

(4)人種や信条など配慮が必要な情報を規定

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