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 「科学の常識を覆した」と称賛された成果が淡く夢と消えた。理化学研究所は19日開いた記者会見で、STAP細胞は確認できなかったと結論づけた。4月に「STAP細胞はあります」と涙ながらに訴えた小保方晴子氏は、理研を去ることが明らかになった。

 「まず、最初に結論を申し上げさせて頂きます。STAP現象は再現することができませんでした。来年3月までの予定だったが、検証実験を終了することとしました」

 冒頭、実験総括責任者の相沢慎一特任顧問が実験の打ち切りを告げ、会見は始まった。東京都内の会場には約200人の報道陣が詰めかけ、用意した席はほぼ満席状態だった。

 相沢氏は小保方氏が7月から始めた検証実験について、スライド画像で説明。小保方氏は論文にある手法で、STAP細胞のような細胞を作製。別のマウスの受精卵に1615個の細胞の塊を移植し、細胞が混ざり合った「キメラマウス」が出来るかを、別の研究者が確認した。

 キメラマウスができれば、STAP細胞が存在する有力な証拠となる。だが、相沢氏は「キメラは作ることができなかった」と説明した。

 次いで、独自に検証実験を進めてきた丹羽仁史チームリーダーが説明。同様にキメラマウスができるかを確認したが、「244個の細胞塊を入れても、一つもできなかった」と話した。相沢特任顧問は「これ以上の検討は、検証実験の範疇(はんちゅう)を超えるものと考える」と話し、検証実験を終了することにしたと説明した。

 2時間以上にわたる会見を終え、退席しかけた相沢氏は立ち止まり「モニター監視や、立ち会いを置いた小保方さんの検証実験は、科学のやり方でない。そういう実験をしてしまったことに、検証実験の責任者としておわび申し上げるとともに、深く責任を感じている」と謝罪した。