三井物産は三菱ケミカルホールディングスと米ダウ・ケミカルが計画している米国の石油化学コンビナートに参加する。三菱ケミカルの事業会社である三菱レイヨンと共同で500億円前後を投じ、安価なシェールガス由来のアクリル樹脂原料の工場を建設。原料のエチレンはダウから調達する。北米でシェールガスを生産し、世界的な販売網を持つ三井物産の参画で、日本企業による北米のシェール関連事業は競争力を増す。
三菱レイヨンと三井物産が共同出資会社を設立し、自動車部品や携帯端末に使用するアクリル樹脂原料「MMA(メタクリル酸メチル)モノマー」の工場を建設する。年間生産能力は約25万トン。立地はテキサス州が有力で、2018年の稼働を目指す。当初は三菱レイヨンが単独で建設する予定だった。
三井物産の出資比率は5割未満に抑える。原料のエチレンはダウがコンビナート内に建設する新工場から調達する。三井物産はダウと石化関連事業で関係が深く、今後の円滑な事業運営につなげる。三菱ケミカルはアクリル樹脂原料の世界最大手。
シェールガスは頁岩(けつがん)層と呼ぶ固い岩盤層に含まれる安価な天然ガス。埋蔵量が多い米国では低コストの化学品工場建設や増産が相次いでいる。日本企業も信越化学工業がルイジアナ州でエチレン工場の建設を検討している。
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