【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は18日、モスクワで年一度の定例記者会見を開いた。原油安などによる通貨ルーブルの急落で厳しい状況が続くロシア経済について「回復するまで(最長で)2年程度かかる」とし、経済危機が長期化するとの見通しを示した。原油価格はさらに下落する可能性があるとし、経済の構造改革で資源依存からの脱却を目指す意向を示した。
ロシアの主要輸出製品である原油価格の急落や、ウクライナ危機を巡る欧米の経済制裁により、経済が低迷する現状について、プーチン氏は「主に外的要因によって引き起こされた」と指摘。原油価格はさらに下落する可能性があるものの、ルーブルの対ドルレートは中長期的に現在の1ドル=60ルーブルの水準を維持できるとの見通しを示した。
同時に「我々は経済多角化のために計画した多くのことができなかった」と述べ、改革の遅れも経済低迷の一因になっているとの認識を表明。起業家への後押しや製造業の育成などに取り組む考えを強調した。ルーブル安への対応や経済振興の新たな具体策は示せなかった。
ポロシェンコ大統領と親ロシア派武装勢力の対立が続くウクライナ情勢については、恒久的な和平に向けた仲介役を担う意向を示した。「危機は政治的な手段のみによって解決されるべきだ」として、ウクライナ政府に9月の停戦合意の完全履行を求めた。
大統領の内外記者会見は今春のウクライナ危機以降初めてで、1千人を超える記者が出席。国家元首としては異例の長時間会見で、内政から経済、国際問題まで幅広い質問に答えた。