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はじめに

わずか数ミリのできものなのに、食べ物や飲み物がしみて痛いなど不快な口内炎。
頻繁に口内炎になるヒトとほとんど口内炎にならないヒトがいます。
体質なのか環境なのか、口内炎の原因と対策を紹介しましょう。


あなたは、口内炎ができやすいですか?口内炎チェックをしてみましょう。


口内炎のタイプ

あなたの口内炎はどのタイプでしょうか。症状の部位や色、形状、発現時期、全身症状、口内の状態や誘因などを確認しましょう。白苔や水疱を形成する病変や発熱などの全身症状を伴う場合は、真菌性の口内炎が疑われるので、病院で診てもらいましょう。

アフタ性口内炎 もっとも多い。直径2~10mmの円形または楕円形。粘膜が赤くなって中央部が浅くくぼんで灰白色をしている潰瘍が1個あるいは数個できて痛みを伴う。
カタル性口内炎 粘膜の白濁や発赤、灼熱感、刺激痛、粘性唾液、口臭を伴う。
潰瘍性口内炎 粘膜にびらんができ、その上に白い苔が生じる。さらに進むと出血する。
壊死性潰瘍性口内炎 歯肉の周縁部に2~4mmの潰瘍ができる。自発痛、接触痛、出血をともなって発生する。

その他、紅斑性口内炎、びらん性口内炎などがあります。

ほとんどの場合は、1~2週間ほどで治りますが、気になる症状があればすぐに医療機関を受診してください。

口唇ヘルペスは、唇やその周辺に水疱ができる疾患です。まずは、医師の診察をうけることをおすすめします。


口内炎の原因は

口内炎の原因ははっきりわかっていませんが、大きく分けると2つに分けられます。
一つは、口の中の傷や刺激によるもので、もう一つは原因不明のものです。

口の中の傷や刺激によるもの
ちょっとしたはずみで、唇をかむ、舌や内頬をかむ、義歯などの堅い物があたる、乱暴なブラッシングで傷をつけるなどの行為でおこる口内炎です。

魚の骨がささる、誤って舌をかむ、堅いものなどがあたるなどで、口の中に傷ができます。口のなかにはもともと常在菌と呼ばれる細菌がいます。(その数は数十億ともいわれています。)口の中にできた傷に細菌が発生すると炎症をおこし口内炎になります。多くの場合は唾液によって洗い流され、口内炎になる前に傷が治ります。しかし、唾液の分泌が低下したり、体調が悪かったりすると、口の中の細菌が繁殖し口内炎になるのです。

原因不明なもの
これといって思い当たることはないけれど、口内炎がいつのまにかできているという場合です。

特に傷になった覚えがない方の場合は、次のように考えられています。睡眠不足、疲労やストレスなどで、新陳代謝が低下していると、口の粘膜の再生機能も衰えています。粘膜の表面が荒れて、ひどい場合は潰瘍になります。ちょうど、口の粘膜が胃にできる「胃潰瘍」のような状態です。そこに、細菌の繁殖があれば口内炎になるのです。


その他
1) 口内炎の原因となる薬剤もあります。
非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、降圧剤(Ca拮抗剤)、サルファ剤、抗がん剤などがあります。
2) 妊娠時は、ホルモンのバランスが崩れ、唾液のPHや分泌量が低下し、歯周病や口内炎にもおこりやすいといわれています。

口内炎にならないために

口内炎ができるヒトとできないヒトの違いは、まず、口の中に傷ができやすいかどうか、そして口の中の細菌がその傷に発生するかどうかと考えられます。したがって、口内炎対策は、傷をつくらないことと細菌を発生させないことの二つです。

口の中に傷をつくらない対策


食べ方 とにかく慌てて食べないこと。魚の骨など硬いものは口にいれるときには気をつけましょう。頬や口をよく噛んでしまう方は、少しずつゆっくり食べるようにしましょう。
食べ物 骨が硬い肉や魚は、口に入れる前に骨をはずしてから口にいれましょう。個人差はありますが、パイナップルやメロンなど果物をとると、口の中が荒れることがあります。食べ過ぎに気をつけましょう。
その他 ストレスや疲労で新陳代謝が低下していると、粘膜の新陳代謝も低下し、粘膜の表面も荒れていきます。ストレスや疲労がたまりやすい人は、睡眠を多くとりストレスを発散できる方法をみつけましょう。

細菌を発生させない対策

唾液の分泌をうながす
唾液が低下していると、細菌が洗い流せず細菌が繁殖することになります。口の中が乾いてきたら、水などを口に含んだり、酸味のある食べ物で唾液分泌を促すのもよいでしょう。

ぶくぶくうがい
また、口の中の細菌が繁殖しないように、うがいをするとよいでしょう。のどの細菌を退治するには、のどの粘膜を刺激するようにガラガラうがいがよいとされていますが、口の中の細菌を退治するのはぶくぶくうがいがよいでしょう。殺菌成分入りのうがい薬や洗口液(せんこうえき)を使うとより効果的でしょう。うがいは、20秒間のぶくぶくうがいで十分です。3時間ほど効果がありますので、1日4回~5回うがいするといいでしょう。

食後は歯磨き
歯磨きをしないと細菌が繁殖して歯周病や口内炎をおこします。

口内炎になったら?

口内炎になると、ひどい場合は食事をとるのも憂鬱になりますね。
生活の中で気をつけることは次のようなことです。

食事


1. 栄養バランスを考えましょう。栄養状態が悪いとどんな傷も治りが悪いといわれています。偏った食事は改め、良質のタンパク質をとるようにしましょう。
2. しみるものは避けましょう。傷にしみる酸味の強いもの、刺激が強いものは避けましょう。
3. ビタミンB2やビタミンCを多くとりましょう。ビタミンB2は、粘膜の再生に関与するビタミンで、不足している方には効果が期待できます。ビタミンB2は鯖、鰯、秋刀魚、どじょう、納豆、アーモンド、豚レバー、ビタミンCは赤ピーマン、レタス、レモン、リンゴに多く含まれています。
4. お酒や喫煙をしないようにしましょう。
5. 利尿作用があるお茶やコーヒーは控えましょう。

うがい

前述したようにぶくぶくうがいを1日数回こまめにしましょう。刺激の少ない殺菌成分のうがい薬を使用しましょう。

歯磨き

食後は歯磨きをして口の中を清潔にしましょう。常に口の中には菌がいます。繁殖させないことです。
また、口の中が乾燥しないようにこまめに水分をとったり、唾液がでるように酸っぱいものを口に含んだりしましょう。

薬は、対処方法です。根本から直す訳ではありません。
塗り薬、パッチ、飲み薬、液剤・スプレー剤があります。お薬アドバイスを参照してください。
お薬アドバイスへ

あなたは、口内炎ができやすいですか?口内炎チェックをしてみましょう。


最後に

今回は口内炎についてとりあげました。口内炎に悩まされている方、薬でもなかなかよくならないなど悩んではいませんか?予防と対策として大切なのは口の中の環境です。すなわち薬は対処療法なので、唾液の分泌を促して、かつ口の中を清潔にしておくかということです。お薬のこと、生活のなかでできる健康に関するアドバイスは、薬剤師にご相談ください。

著者プロフィール


  株式会社 医療経営研究所
薬剤師 富永 敦子
NPO法人 ふぁるま・ねっと・みやぎ理事/(社)宮城県薬剤師会常任理事/
(社)日本薬剤師会編集委員/みやぎ21健康プラン推進協議会委員
1959年生   茨城県出身
1982年   東北大学薬学部卒業


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