Uber創業者も参画。新アプリ”Reserve”は外食体験のUberとなれるか。
Uber創業者も参画、話題のレストラン予約アプリ
2014年10月下旬、米国ボストン発のレストラン予約アプリがリリースされ、話題を呼んだ。アプリの名前は “Reserve” 。UberとFoursquareの創業者も参画し、立ち上げに携わったことも話題となった原因の一つだ。
“Reserve” は、スマートフォンからレストランを予約し、同時に決済まで代行してくれるリッチな外食体験アプリ。運営側は”デジタルコンシェルジュアプリ”と自称している。ボストン発スタートアップのSoonSpoonを買収し、その提携店舗とのネットワークを引き継ぎ活用する形でローンチ。現在は、拠点のボストンに加えて、ロサンゼルス、ニューヨークのみでの利用となっている。
単なるレストラン予約サービスとは違う
“Reserve” のiOSアプリを立ち上げ、人数、日時、場所などを指定すると空席のあるレストランを表示してくれる。提携しているレストランはどこも華やかな店内と外観を備えたちょっとリッチなお店ばかり。ビジネスランチや接待、お祝いの日などに最適だろう。現在は約90店舗と提携しているが、今後はこれを増やしていきサンフランシスコ、ワシントンDC、ロンドンにも事業を展開していく予定のようだ。
レストランの予約は1日ほど以内には完了し、メールにて通知してくれる。もちろん、アプリ内でも予約状況が確認できる。こうなると気になるのは、レストラン側の予約管理とオペレーションだ。”Reserve” はこの点も抜かりない。提携店舗の全店にiPadを付与し、お店専用アプリを備えることで予約管理にかかるコストを最小限まで抑える。お店側はユーザからの予約をリアルタイムで見ることができ、承諾および拒否をすることが可能だ。同時に、専用アプリを用いて作成した空席はリアルタイムにユーザ側に表示される。これは、お店にとっても大きなコスト削減となる。
“Reserve” において忘れてはいけないのが食後の決済であり、ココが単なるレストラン予約サービスとは異なる点だ。“Reserve” ではユーザ登録の際に、名前やメールアドレスと共にクレジットカード情報も登録する。これにより、食後の決済は現金で支払うことなく、自動的にクレジットカード決済が完了し、後で領収書がメールにて送られてくる、という仕組みだ。正にUber車から降車する時と同じ様なスマートな決済体験を実現する。お財布を出さずとも決済が完了しそのまま退店できるならば、デートの際は最高のドヤ顔をかますことができる等、あらゆるシーンで重宝できそうだ。
クレジットカード情報の登録は、店舗側にとっても多数のメリットがある。予約の4時間前以降にキャンセルされた場合は$10、当日断りもなく現れなかった場合は$25がクレジットカードから自動引き落としされる為、キャンセルの確率が減る。加えて、キャンセルが生じた為に廃棄する事となってしまった食材のロスなど、お店側の細かい問題の解決にも貢献する。また、レジでの会計に対応する必要がない為、お店のスタッフも本来の仕事である料理に集中することができる。
OpenTableのライバルとなれるか
現在、”Reserve” は予約ごとにユーザーから利用料$5を支払ってもらう形をとっている。また、収益源は現段階ではこの利用料だけのようだ。が、提携店舗が増え確実に送客ができる事が実証されれば、お店側から月額のシステム利用料を頂戴したり、予約毎に手数料を頂くようなモデルも考えられる。
レストラン予約市場にはOpenTableという大手が存在する。1998年創業の当社が今年6月にオンライン旅行予約のPriceline社に26億ドルで買収されたことはまだ記憶に新しい。その前月には米トリップアドバイザーもフランスのレストラン予約事業社を買収するなど、飲食店予約業界が盛り上がっていることは明らかだ。果たして “Reserve” はこの中で存在感を示し、OpenTableなど大手に対して勝機を見出すことはできるのだろうか。
「利便性」ではなく「体験の最大化」
レストランを予約し、決済をスマートに行う。これらのアイデア自体は決して画期的で新しいものではない。むしろ、OpenTableやUberといった既存サービスの掛け合わせのような形態だ。しかし、アプリ本体は非常に洗練されたデザインと作りになっており完成度の高さを感じた。また、運営側のインタビュー記事を読むにしても、「単に予約できる利便性」を求めるというよりは「外食体験そのものを最大化」する事を追求しているように感じた。もし、”Reserve” がこの「外食体験の最大化」にこだわり続け、同時に掲載店舗を順調に増やすことができれば、勝機を見出すことは十分可能かもしれない。
日本にも既に “Reserve” 同様、レストランの予約と決済を一貫して行うサービスがある。2013年夏にサービス提供を開始した、厳選したレストランの予約サイト「ポケットコンシェルジュ」だ。同サービスは、2014年7月にクレジットカードによる自動決済サービス「ポケットエクスペリエンス」をリリースしている。予約が困難な人気店や紹介がなければ入れないような著名店が掲載されており、高所得者を中心に会食や接待などの用途で利用されている。
“Reserve” に先行して、この予約×決済サービスを展開する「ポケットコンシェルジュ」は、ちょうど先日iOSアプリを公開した。WEB版での提供に加えて、アプリが利用できるようになればユーザにとって利便性は一段と高まることだろう。
ポケットコンシェルジュ(Pocket Concierge) iPhoneアプリ:http://goo.gl/2Ak5nl
【参考】
・An Uber founder tables a new idea
・Reserve wants to be like Uber for dining out, with help from Uber’s cofounder
・This App Wants To Make Sure You Never Ask For A Check At A Restaurant Again
・Uber and Foursquare cofounders help launch a dining concierge app
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