“賃上げに最大限努力”政労使で合意文書12月16日 12時21分
政府と経済界、労働界の代表による会議が開かれ、安倍総理大臣は、継続的な賃金の引き上げや下請け企業に支払う代金の改善などを要請し、経済界は賃金の引き上げに最大限の努力を図るなどとした合意文書を取り交わしました。
総理大臣官邸で開かれた「政労使会議」には、政府から安倍総理大臣や甘利経済再生担当大臣らが、経済界から経団連の榊原会長らが、労働界から連合の古賀会長らが出席しました。
この中で、安倍総理大臣は「来年春の賃上げに最大限の努力を図っていただくよう経済界に要請したい。賃上げの流れを来年、再来年と続けていき、全国津々浦々にアベノミクスの効果を浸透させていきたい」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「特に円安のメリットを受けて高収益の企業は、賃上げと設備投資に加えて、下請け企業に支払う価格についても配慮を求めたい」と述べ、円安で業績が改善している企業を中心に、設備投資や下請け企業に支払う代金の改善などに収益を充てるよう要請しました。
そして、会議では、「政府の環境整備の取り組みのもと、経済界は賃金の引き上げに最大限の努力を図るとともに、取り引き企業の仕入れ価格の上昇などを踏まえた価格転嫁や支援・協力に総合的に取り組む」などとする合意文書を取り交わしました。
また、会議では、合意の実施状況を継続的に点検していくことを確認しました。
連合会長「国民の声聞いて不安解消を」
連合の古賀会長は記者団に対し、「これまで『デフレ脱却のためには所得の向上が極めて重要だ』と言ってきたが、その土俵にやっと政府や使用者側が乗ってきた。長時間労働の是正など、ワークライフバランスについても深い議論ができたことは評価したい。政府と使用者側は、国民の声を聞いて、雇用不安の払拭(ふっしょく)や所得の向上、将来不安の解消に努力してほしい」と述べました。
経団連会長「賃上げに最大限努力」
会議に出席した経団連の榊原会長は記者団に対し、「きょう私が申し上げたのは、賞与・手当を含めた賃金の引き上げについて最大限の努力をするということだ。デフレ脱却に向けて経済の好循環の2巡目をしっかりと回すために経済界として一歩前に踏み出し、収益が上がった企業には設備投資や雇用の増加、賃金の引き上げで対応しようと呼びかけていきたい」と述べました。
日商会頭「価格転化推進を」
会議に出席した日本商工会議所の三村会頭は、記者団に対して、「中小企業では、賃上げに必要な条件が整っていない。原材料費や電気料金の値上がりなど、上昇したコストのほとんどが製品価格に転嫁されていないので、ぜひとも転嫁を推進してもらいたい。今回は、そのための政府による支援や環境整備も合意文書に明記されているのでしっかりと周知徹底してほしい」と述べました。
官房長官「デフレ脱却と経済再生実現を」
菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで、景気回復を実感していただくことを国民に約束した。そのためにも政労使一丸となって本日の合意を実行することが不可欠であり、政府としてもしっかり取り組んでデフレ脱却と経済の再生を実現していきたい」と述べました。
副総理「継続して賃金上昇を」
麻生副総理兼財務大臣は、16日の政労使会議について、閣議のあとの記者会見で、「従業員の給料が上がり、可処分所得が増えるような形にならないと消費につながらない。消費が増えないとGDPが増えない。継続して賃金を上げるようにしていかないといけない」と述べ、企業による賃上げの取り組みに期待感を示しました。
そのうえで、麻生副総理は「企業の内部留保は賃金にいくか配当にいくか設備投資に回るのが本来の姿で労使でいろいろ話をしてもらうことが大事だ」と述べました。