日航機尻もち:副操縦士は減速で逆噴射、機長が再離陸中

毎日新聞 2014年12月18日 12時41分(最終更新 12月18日 13時39分)

 羽田空港で2012年3月、中国・上海発の日本航空ボーイング777(乗員乗客308人)が機体後部を滑走路に接触させた事故で、運輸安全委員会は18日、着陸時に副操縦士が減速のための逆噴射をする一方で、機長が再離陸を試みたことが原因とする報告書を公表した。事故の背景に意思疎通の欠如があったことが明らかになった。

 同機は12年3月31日、羽田空港に着陸直後にやり直しを決め、機首を上げたが、直前に着陸操作を行っていたため減速。機体後部が約7秒間滑走路に接触した後、再び離陸し、約25分後に同空港に着陸した。

 報告書によると、同機は副操縦士が操縦を担当していたが、着陸直前から機長が操縦を補助していた。着陸直後、副操縦士が減速のためにエンジンを逆噴射。一方、機体がバウンドしていると錯覚した機長はこの操作に気付かず、再離陸を指示した。

 通常、逆噴射後は再離陸せず、着陸を継続すべきだったが、機長は逆噴射に気付いた後も、操縦の引き継ぎを副操縦士に告げないまま、自ら離陸作業を実施した。しかし、エンジンの出力増加まで時間がかかったため、低速で機首を上げた形となり、機体後部が滑走路に接触した。

 日航は事故後、機長と副操縦士間の操縦引き継ぎの手順や操縦中のアドバイスの方法を見直し、運航ガイドラインを改正した。【佐藤賢二郎】

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