バチカン:米キューバの秘密交渉 ローマ法王が仲介役
毎日新聞 2014年12月18日 11時28分(最終更新 12月18日 13時43分)
【ローマ福島良典、ワシントン及川正也】米国とキューバの国交正常化に向けた秘密交渉では、南米アルゼンチン出身のフランシスコ・ローマ法王が仲介役を果たした。バチカン(ローマ法王庁)は17日、今年10月に両国代表団を迎え、詰めの協議をしたと明らかにした。米政府高官も米国人アラン・グロス氏解放などにつながる「とても重要な役割」だったと語った。オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長は、共に法王に謝意を表明した。
バチカンが17日に発表した声明によると、フランシスコ法王はオバマ、カストロ両氏に書簡を送付。「両国関係を新たな段階に進めるため、特定の収監者の状況を含む人道的な問題を解決するように」と呼びかけていた。
「特定の収監者」はキューバで拘束されていた米国人のアラン・グロス氏らを指すとみられる。米政府高官は、書簡が「前進する弾みになった」と振り返った。
10月にバチカンで開かれた協議で「両国が受け入れ可能な解決策に達した」という。バチカン声明によると、17日に78歳の誕生日を迎えたフランシスコ法王は米国とキューバの「歴史的な決断」を歓迎した。
バチカンは1935年にキューバと国交を樹立。ヨハネ・パウロ2世は98年に法王として初めてキューバを訪問し、フィデル・カストロ国家評議会議長(当時)と会談した。ベネディクト16世は2012年のキューバ訪問時、米国に対キューバ制裁の解除を求めた。