すでに知られている通り、日本は最近、国内総生産(GDP)という見かけの統計に基づくと「景気後退」に突入した。重要なのは、困惑するケインズ信奉者のマスコミと歩調を合わせて、占星術師のように経済状況を語る専門家が主張する景気の下降は、本当は景気後退ではないということだ。
インターマーケット・フォーキャスティングのリチャード・サルスマン氏が指摘した通り、日本の「景気後退」は直感的に、よく知られている景気後退であることがめったにない。政府は経済成長をつくることはできない。成長のスケジュールを変更できないのと同じだ。GDPはそもそもケインズ信奉者たちの創造物。消費に焦点を合わせているのだから、テクニカルな意味で景気後退が形作られるのは驚くに値しない。
日本政府が消費税率を3%引き上げると通知したとき、日本の消費者は増税前に消費を増やした。このタイミング調整は、増税前に「成長」を増大させ、その後消費を縮小させた。ケインズ信奉者は消費税率が引き上げられると、成長と思っていたものはどうなったのかと混乱に陥った。日本経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)はほんの少ししか変わっておらず、GDPは日本の消費者が消費時期をずらしたという分かりやすい事態を見逃している。
■「政策では日本を救えない」の見方に反論
にもかかわらず、日本は景気が下降しているという説に経済評論家は予想通りとびつき、毎日毎分毎秒、消費の意思決定をしている何百万人もの日本人の行動に、自分の占星術のような理論をあてはめようとする。評論家たちはGDPという作られた数字上で見える変化をもとに、世界有数の経済大国が何に苦しんでいるのかを理解しようとしている。
ここで注目したいのは、ブルームバーグ・ビューのコラムニスト、ミーガン・マッカードル氏が登場し「政策では日本を救えない」と題して解説した内容だ※。マッカードル氏は、他の輸出国との競争激化に(少子高齢化という)人口動態の要素が加わった、まるで「介護付き住宅」のような状況のため、政策は骨抜きになると主張する。そんなでっちあげは無謀だ。
マッカードル氏の反論では、世界的な生産(つまり輸出)が成長を減退させる事態が、記事を書くずっと以前から評論家を混乱させているという。彼女や彼女の見解のベースになっている他の評論家たちの考えは、検討に値しない。それどころか、世界経済という「閉じた」世界のなかで、日本に関していえば世界的な生産(繰り返すが、要するに輸出)は良い意味しかもたない。
※アベノミクスの3本の矢により、景況は好転するはずだった。ところが7~9月期に2四半期連続のマイナス成長となったことを受け、マッカードル氏は、日本は競争激化と少子高齢化に直面し、金融政策や構造改革をもってしても「限界がある」と論じた(ブルームバーグ・ビュー掲載「Better Policy Can’t Save Japan」)
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