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【社会】

JKビジネスから「18歳」も守れ  補導対象、来月から拡大

JKリフレ店などの状況を確認するため、一斉補導で少女(左)らに聞き取りをする捜査員=11月、東京都千代田区外神田で

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 女子高生がマッサージやデートのサービスをする「JK(女子高生)ビジネス」について、警視庁は来年一月から、児童福祉法などの保護対象の年齢に合わせて十八歳未満だった補導対象を十八歳の高校生らに広げる。十八日に各署に通知する。背景には「十八歳」の高校生を働かせ、網をかいくぐる業者が跋扈(ばっこ)する事情がある。こうした商法の中心地、東京・秋葉原を歩いた。 (北川成史、大平樹)

 「私は高校一年だから駄目だけど、店には『お散歩』できる三年生がいる」。十一月中旬、秋葉原でビラを配っていた少女は屈託なく話す。

 少女の店は、客とデートをする「JKお散歩」と、女子高生と会話をする「JKコミュニケーション(コミュ)」のサービスを提供する。十八歳未満の従業員は、路上での勧誘とコミュでの会話を受け持つ。お散歩希望の客は十八歳以上に引き継ぐという。

 警視庁は、女子高生がマッサージをする「JKリフレ(ツボ刺激療法『リフレクソロジー』の略)」などが性犯罪の温床になっているとして店舗経営者らを摘発してきた。十八歳未満の従業員については「不良行為」にあたるとして昨年から補導対象にしている。

 同庁によると、規制強化の結果、JKビジネスの店が集まる秋葉原で昨年十二月と今年十一月上旬に実施した一斉補導を比べると、補導人数は十三人からゼロ、店舗数は百三十八軒から五十一軒に減った。だが、業者は規制の網をかいくぐって営業を続けている。

 「十八歳の高校生は十人ほどいて、『お散歩』させている。補導対象になるなら(会話するだけの)コミュに移す」。十一月下旬に警視庁が実施した実態調査の際、ある店舗の責任者は堂々と答えた。実態調査の際、十店以上で十八歳の高校生を計約四十人働かせていた。

 オープンスペースでの会話だけなら有害業務とまで言えず、従業員の年齢を問わず摘発や補導は難しい。二人きりになる「お散歩」や「リフレ」では性犯罪の危険度が増すが、これまでは十八歳以上になると補導対象から外れていた。

 このため、十八歳の高校生や高校と同等の専修、各種学校生も補導し、保護者に連絡することにした。

 一方、今回の対策強化後でも、学校に在籍しない少女は十八歳でも補導されない。

 警視庁幹部は「親元を離れるケースもある大学生や社会人と違い、高校生は基本的に親の監督下で生活している。JKビジネスは『高校生』が売りなので、従業員の供給を絶つ狙いもある」と説明している。

 少年非行に詳しい土井隆義筑波大教授は「JKビジネスをつぶす効果は期待できる」と話す一方「補導の本来の目的は子どもの保護で、高校に行かない子を保護の対象から外す社会的意味を警察は説明しなくてはならない」と指摘している。

<JKビジネス> JKは女子と高校生のアルファベットの頭文字。女子高生らが簡易マッサージをする「JKリフレ」が始まりで、秋葉原から各地に広がったといわれる。労働基準法は18歳未満のこうした有害業務就業を禁じている。警察官は警察庁の通達などに基づき注意や助言を与え、保護者や学校に連絡、監督や指導を促す補導を行う。対象となる不良行為は不健全性的行為や飲酒、家出など17種類。この中には、警視総監や道府県警本部長が定める「指定行為」がある。警視庁と神奈川県警は、JKビジネスに絡む補導を指定行為にしている。

 

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