日立、発送電分離をにらんで送電事業に本腰

スイス重電大手・ABBとの提携に見る日立の狙い

中西宏明・日立製作所CEO(左)と、ウルリッヒ・シュピースホーファーABB社CEO(右)

「私からABBに声をかけた」――。

日立製作所とスイスの重電大手ABBは16日、2015年4月をメドに電力流通の高圧直流送電事業(HVDC)で合弁会社を設立することを発表。中西宏明・執行役会長兼CEO(最高経営責任者)が自ら動いて意中の相手を射止めた。

ABBはスイスに本社を置く重電大手。電力と工場自動化システムが事業の柱で、13年12月期の売上高は418億ドル(約4兆8900億円)。日本でも100年以上、事業展開をしている。

18年の発送電分離が商機

出資比率は日立が51%、ABBが49%になる予定。本部は東京に置き、両社から2名ずつ役員を送りこむ。日立からCEO、ABBからCOO(最高執行責任者)を派遣する。

 日本では16年に電力小売りの自由化、18年に電力会社の発送電分離を控えており、送電設備の需要が増える見込みだ。今回発表したHVDCは送電事業のほんの一部ではあるが、再生可能エネルギーの普及で注目されている分野だ。

例えば、洋上風力や離島にある太陽光発電などは、遠隔地からエネルギーを送ることが多い。通常の送電は300~400キロメートルが限界と言われており、それを越える長距離の送電ではHVDCの使用にメリットが出る。合弁会社で行う事業は現時点では国内のみを予定。日立が営業を担当し、ABBの機器を売り込む。

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