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「引きこもり」するオトナたち

実家に12年間引きこもっていた45歳M君が
ついに飛行機で沖縄に行き人前で話した!

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第226回】 2014年12月18日
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 約12年にわたって引きこもった末、自立を目指して一進一退を繰り返す『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)のモデルのM君(45歳)が、12月13日、筆者と一緒に飛行機で沖縄へ渡った。そして、宮古島で引きこもる当事者と一緒に、50人余りの大勢の参加者の前で話をした。

 主催したのは、社会的な自立が困難な当事者に対する援助活動を行っている沖縄県那覇市のNPO法人「エスペーロ」。来年2月に開催され、支援者が現状を報告する「第10回全国ひきこもり・若者協同実践交流会」の広報も兼ねて開かれた。

 M君は、「人前で話した経験がなく、しどろもどろになってしまうと思うのですが…」と、やや震える声で話を切り出した。

十数年も他人と話していなかったM君が
「話すことが楽しくなった」

 地方にある実家の親元を離れたM君が、当事者たちによって運営される居場所「Necco(ネッコ)」などのサポートを受けながら、東京で1人暮らしを始めて約2年。今回、勇気を出して、沖縄へ来ようと思ったきっかけについて尋ねると、こう答えた。

 「以前だったら、考えられなかったと思うんですけど。せっかく自分を助けてくれたネッコさんのために、少しでも役に立ちたい。また、お誘いを無理だ無理だと言って断っていたら、人間的に成長しないので…。誰かの役に立てば、自分の自信にもなる。(筆者からのメールの中に)“M君は、人とつながっていかないからなあ”と書いてあったのを見て、これは池上さんにも批判されるなと思って、慌てて修正しようかなと…。東京に来てからも、相変わらず引きこもっていた。いろいろお誘いがあっても“用事があるから”って断って。用事なんて、ないんですけど。家でゴロゴロしているような生活を、2年経ったので、そろそろやめないといけないかなって…」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

1962年生まれ。大学卒業後、通信社の勤務を経て、フリーに。雑誌やネットメディアなどで、主に「心」や「街」をテーマに執筆。1997年から日本の「ひきこもり」現象を追いかけ始める。東日本大震災後は、被災地に入り、震災と「ひきこもり」の関係を調査。著書は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)、『ふたたび、ここから~東日本大震災、石巻の人たちの50日間~』(ポプラ社)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)などがある。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)、最新刊『大人のひきこもり~本当は「外に出る理由」を探している人たち~』(講談社現代新書)
。池上正樹 個人コラム『僕の細道』はこちら

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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