エボラ熱長期化で食糧不足深刻に12月18日 7時20分
エボラ出血熱の患者が依然として増え続けているシエラレオネなど西アフリカの3か国では、感染の長期化に伴って食糧不足が深刻化していて、国連は、このままでは来年3月に100万人が食糧不足に直面するおそれがあると警告しています。
WHO=世界保健機関によりますと、エボラウイルスへの感染、または感染によるとみられる死者の数は、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3か国を中心に、17日の時点で6915人となり、この3か国では、感染が弱まっている地域はあるものの、依然として患者が増え続けています。
WFP=国連世界食糧計画とFAO=国連食糧農業機関は17日、共同で声明を発表し、感染の長期化に伴って、現地では、農家の人たちが隔離されているため農地を放棄せざるをえず、移動制限によって市場に品物が供給されなくなって、人々の食糧の確保にも深刻な影響が出ていると指摘しました。
そのうえで、現在の状況が続けば、来年3月には西アフリカの3か国で100万人が食糧不足に直面するおそれがあると警告し、農業生産の立て直しなどのために一層の支援が必要だと訴えました。
国連事務総長が視察へ
国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長は、18日からエボラ出血熱の患者が増え続けている西アフリカの各国を訪れ、初めて現地の状況を視察するとともに、国際社会に改めて支援を呼びかけることにしています。
これは、パン・ギムン事務総長が17日、ニューヨークの国連本部で行われた記者会見の中で明らかにしたものです。
パン事務総長は、18日から3日間にわたって、西アフリカのリベリアやシエラレオネ、それにギニアやマリの4か国の首都を訪れ、各国の首脳や医療従事者らと会談するほか、国連のエボラ緊急対応ミッションの本部が置かれているガーナの首都アクラも訪れ、国連関係者を激励することにしています。
エボラ出血熱の感染が広がって以来、パン事務総長が現地を視察するのは初めてで、パン事務総長は、「感染の勢いはやや弱まっているものの、最後の1人の患者が治療を受けられるまで、気を緩めることはできない。私はそれを訴えるために現地を訪問する」と述べ、現地から国際社会に改めて支援を呼びかける姿勢を強調しました。