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 東京電力は17日、2015年3月期決算の経常利益が2270億円の黒字となる見通しを発表した。燃料費の抑制などのコスト削減が目標額より約2600億円上積みできたため、原発が止まったままでも大幅な黒字を確保できる見通しだ。電気料金の再値上げも15年中は見送る方針だ。

 東電の数土文夫会長はこの日の記者会見で「来年1年間の値上げはしない。リスクは承知しているが、危機突破の取り組みに注力したい」と話した。

 東電は9月、「生産性倍増委員会」を設置し、再建計画(新総合特別事業計画)からさらに踏み込んだコスト削減策を検討してきた。石炭や液化天然ガス(LNG)を使った火力発電所の定期点検の工期を短縮させたり、効率の良い発電所の運転を前倒ししたりして、今年度想定していた約5700億円のコスト削減額に、約2600億円分上積みできる見通しだ。

 これにより、15年3月期の経常利益は前期の1014億円の約2・2倍となり、2年連続で経常黒字となる見通し。再建計画では、今年7月に柏崎刈羽原発の再稼働を想定し、再稼働できない場合、今年秋までに最大10%の値上げが必要としていたが、コスト削減で十分な黒字を確保できたことで、電気料金の再値上げを回避した。