文部科学省は2016年度から、全国に86ある国立大学を「世界最高水準の教育研究」「特定の分野で世界的な教育研究」「地域活性化の中核」の3グループに分類する。グループ内で高い評価を得た大学に、運営費交付金を手厚く配分する。従来は規模に応じて機械的に割り当てられていた。大学の特色を明確にし、同じグループ内での競争を促す狙いがある。
下村博文文科相が17日、政府の産業競争力会議の作業部会で明らかにした。各大学は15年中に3グループの中から1つを選ぶ必要がある。選択に当たって同省は審査などを行わず、自主性に任せる。所属グループの選択は、各大学の将来像に大きく影響しそうだ。
3分類する主な理由は、国立大の収入の柱である運営費交付金(14年度予算で1兆1123億円)の配分方法の見直しだ。大学の規模に応じてほぼ一律に割り振られていることから、産業界が「競争原理を導入すべきだ」と求めていた。
一方、同じ条件下での競争原理が導入された場合、地方の小規模大は、都市部の総合大学と比べて不利になる恐れがある。このため、同省は3グループごとに、それぞれ異なる評価手法を新たに導入することを決めた。
各大学の取り組みを毎年度評価し、グループ内で成果が高いと判断された大学に重点的に交付金を配分する。評価手法は文科省の有識者会議が今後検討するが、「世界最高水準の教育研究」を選んだ場合は、論文引用数や外国人教員数などが指標とされそうだ。
文科省国立大学法人支援課は分類について「各大学の強みをさらに伸ばしてもらうのが目的で、大学の役割を固定化するものではない」と説明。特定のグループに財源を集中することは現時点では検討していない。
文科省は昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」で、グループ分けの方向性を示し、具体策を検討していた。大学の国際化に向けて重点的に支援する「スーパーグローバル大学」の仕組みもあるが、私立や公立を含んでおり、評価手法も異なる。
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