【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)は17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の終了後発表した声明に、事実上のゼロ金利政策の方向性を巡り、金融政策の正常化を始めるまで「忍耐強く待つ(be patient)」との表現を初めて盛り込んだ。一方で利上げまでの経過期間を「相当な期間(considerable time)」置くとする前回までの声明の一節も併存させ、利上げの判断を慎重に行う構えを強調した。
市場では今回のFOMCで「相当な期間」との表現を削除し、利上げに向け判断を前進させるとの観測が強かった。今回の声明では、回復が続く米景気・雇用動向を踏まえ、FOMCは利上げが開始できる状態になるまで「忍耐強く待つ」との一文を新たに盛り込んだ。
ただ、こうした判断は10月末の量的緩和終了から利上げまで「相当な期間」を置くとしてきた従来の声明の考え方と食い違っていないとも説明。「相当な期間」との表現もそのまま残すことで、長期緩和が続くとの期待をつなぎ、市場で早期の利上げ観測が広がるのを抑えたい狙いとみられる。
声明は米景気が「緩やかなペースで拡大を続けている」と指摘。雇用情勢も改善が進んだとしている。ただ大幅な原油価格の下落を映し、インフレ率がFOMCの目標とする水準を下回っていると説明。物価動向を注視するとしている。
FOMCが同日改訂した中期経済見通しによると、2014年の米実質国内総生産(GDP)の伸び率は2.3~2.4%と、9月時点予想の下限と上限をそれぞれ0.3、0.2ポイント上回った。15年の失業率予想は5.2~5.3%へ引き下げており、FRBが完全雇用を前提とする失業率を達成するとの見通しを示した。
一方、原油安の影響などで15年のインフレ率(コアPCE)は1.5~1.8%と9月時点予想からさらに下方修正し、来年は低調に推移するとみている。
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