高浜原発:隣接府県は慎重姿勢 新基準適合
毎日新聞 2014年12月17日 12時18分(最終更新 12月17日 13時02分)
高浜原発3、4号機が福島第1原発事故を踏まえた新規制基準に適合していると認められ、安全審査の最大のハードルを越えた。今後の焦点は再稼働に必要な「地元同意」に移る。
川内原発1、2号機は地元同意の範囲を立地自治体に限って手続きを終えたが、高浜原発など福井県内の原発は事情が異なる。防災対策が必要な半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る京都府、滋賀県が異論を唱える可能性があるからだ。
だが、政府は再稼働の方針を掲げる一方、安全性は規制委が審査し、再稼働は地元の理解を得て電力会社が判断するという姿勢だ。再稼働の判断と責任を地元や電力会社に押しつけるやり方は混乱を招く。政府は、立地自治体だけでなく、京都府や滋賀県を含む地元の意見に真摯(しんし)に耳を傾ける必要がある。
地元同意の範囲をめぐっては2012年、高浜町に隣接する福井県おおい町の関電大飯原発3、4号機が再稼働した時にも問題になった。
京都府の山田啓二知事と滋賀県の嘉田由紀子知事(当時)は「事故が起きれば被害が及ぶ」として「被害地元」を主張し、再稼働に慎重な姿勢を示した。この時は最終的に、民主党政権幹部が関西広域連合に説明に出向き、野田佳彦首相(同)が記者会見で必要性を訴えて、再稼働の流れを作った。
今回も、京都府と滋賀県は再稼働の判断に際して周辺自治体の理解を得るよう主張している。周辺自治体にどのような姿勢で臨むかを政府が明確にしない限り、再稼働の手続きがどう進むか見通せない状況が長引く恐れがある。【根本毅】