衆院選:選挙放送が4割減 「公平」要望が影響も

毎日新聞 2014年12月17日 20時20分(最終更新 12月18日 00時23分)

衆院選公示後の放送時間
衆院選公示後の放送時間

 ◇前回12年と比較、「視聴率とれない」判断に加えて

 14日に投開票が行われた衆院選の公示後12日間の選挙期間中、NHKを含む在京の地上波テレビ6局で、選挙関連の放送時間が、前回衆院選(2012年12月)の同期間に比べ、約4割減ったことが17日、わかった。視聴率がとれないとの判断に加え、自民党側が各局に放送の公平中立を求める要望書を渡していたことも影響したとみられる。

 調査会社、エム・データ(東京都港区)が東京エリアについて集計。政見放送や政党CMは集計時間から除外した。

 選挙期間中の6局の選挙関連の放送時間は38時間21分で、前回の61時間45分に比べて37.9%(23時間24分)減った。

 主因は、民放5局の情報・ワイドショー系番組での放送時間の大幅減で、前回に比べ14時間12分(77.6%)減った。民放のニュース・報道系番組は5時間1分(19.5%)減った。

 政治的テーマを比較的多く取り上げていたTBS系「朝ズバッ!」などの一部の情報番組がこの間に打ち切りになったことも原因の一つ。ある民放の担当者は「今回の選挙は視聴者の関心が薄いと考えた。しかも政党からの要望を考えると、内容が問題になる恐れもあり、あえて選挙を取り上げる、という判断はできなかった」と明かす。

 民放に比べれば減少幅は小さいものの、NHKも放送時間が減った。ほとんどはニュース・報道系番組で、11時間57分と前回より約1割(11.1%)少なかった。17日の定例記者会見で板野裕爾・放送総局長は「選挙報道の量や内容が変わったとは思っていない」と述べた。【望月麻紀、須藤唯哉】

 ◇視聴者の政治的関心を失わせる可能性

 音好宏上智大教授(メディア論)の話 放送の評価は時間の長短だけでは決まらないが、放送時間が減れば、視聴者の政治的関心を失わせる可能性がある。安倍晋三首相が「争点はアベノミクス」と述べたこともあり、それに対する各党首の発言を並べた番組が多かった。それ以外の争点を掘り起こして丁寧に説明する番組が少なかったのも、放送時間減の一因ではないか。

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