高浜原発:規制委「合格」…「地元同意」は不透明
毎日新聞 2014年12月17日 21時13分
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)が17日、原子力規制委員会の安全審査に事実上、合格した。しかし、事故の際に被害が及ぶリスクを懸念する周辺自治体からは、再稼働に慎重な声が相次いだ。国や関電が「地元同意」を取り付けられるかは不透明だ。
原発がある福井県高浜町の野瀬豊町長は町役場で取材に応じ、「厳しい基準にのっとり審査された結果を尊重したい」と前向きに捉えた。「地元同意」の範囲については「広がるほど結論が出ない。物事が決まらない状況は好ましくない」と述べ、高浜町と福井県に限るのが適切という考えを示した。
西川一誠・福井県知事は談話を発表し、「残る手続きについて日程を明確にし、遅滞なく進めるべきだ」と規制委に注文した。
一方、高浜原発から30キロ圏内にかかる京都、滋賀両府県知事は、立地自治体並みの関与を求めていく立場を改めて主張した。
山田啓二・京都府知事はこの日、岩根茂樹・関西電力副社長と府庁で会談し、「原子力安全協定が締結されていない段階では(再稼働は)受け入れられない」と苦言を呈した。
京都府は舞鶴市の一部が高浜原発から5キロ圏に入り、30キロ圏に約12万8000人が住む。「立地自治体と言っても過言ではない」と強調する山田知事は「(再稼働への)同意権までは難しいと思うが、事故発生時に通報を受けるだけでなく、事前に安全に関してものが言える協定が不可欠だ」と話した。
滋賀県の三日月大造知事は、原発事故に備えた広域避難や防護態勢が整備されていない状況を挙げて「福島原発事故を真に教訓として受け止めるならば、原発を動かすという判断はされないと思う」とけん制。再稼働を進めれば「断固抗議する」と言い切った。
三日月知事は今年7月の知事選で、嘉田由紀子前知事の提唱した「卒原発」を引き継いで初当選。関電が発表した電気料金値上げ方針に絡み「原発に依存しないエネルギー社会を電力会社がどう作ろうとしているのか見えない」と批判した。【松野和生、藤田文亮、加藤明子】