いまいちピンと来なかった『インターステラー』

インターステラー (竹書房文庫)

監督

クリストファー・ノーラン

脚本

クリストファー・ノーラン
ジョナサン・ノーラン

登場人物

クーパー(マシュー・マコノヒー
マーフィー(ジェシカ・チャステイン
ブランド教授(マイケル・ケイン
アメリア・ブランド(アン・ハサウェイ
ロミリー(デヴィッド・ジャーシー)
ドイル(ウェス・ベントリー
マン博士(マット・デイモン

あらすじ

近未来、地球規模の環境変化によって人類は滅亡の危機に瀕していた。そこで、人類が生存できる新たな惑星を探そうとするミッションに元NASAパイロットのクーパーが抜擢される。1男1女の父親でもあるクーパーは、地球に残さなければならない家族か人類滅亡の回避かの二者択一を迫られる。悩んだ末、クーパーは宇宙船に乗る決意をする。

 

各方面(おもにネット)から絶賛の声が多かった『インターステラー』。SF超大作ということで映画館でやってるうちに行かないとなと思ってたので先日観に行った。残念ながらIMAXでは観ることができなかったけど、迫力は充分だったと思う。

 

インターステラーは『ダークナイト』シリーズや『インセプション』の監督であるクリストファー・ノーランによる新作。この映画にはワームホールブラックホール相対性理論が出てくるのだけど、これらを可能な限り正確にするために理論物理学者のキップ・ソーンが監修しているという熱のいれよう。よって、この映画を観る前に予備知識として相対性理論ウラシマ効果ブラックホールワームホールについてググるなりしておくことが賢明。

 

映画の感想としては、ピンと来なかったといってもいい映画ではあると思う、ただ絶賛される程いいか?といった感じ。たしかに映像は素晴らしい。特にブラックホールに入った以降の映像美は目を見張るものがあった。俳優の演技もよくて、マシュー・マコノヒーは当然として、娘のマーフィー(通称:マーフ)役を演じたジェシカ・チャステインも光っていた。ジェシカ・チャステインは演技もいいけど、気が強そうな顔も魅力を増してる要因だと思う。

 

かなり盛り沢山の映画で、親子愛、アクション、サスペンス、もちろん本格SFなど飽きさせない作りになってる。地球での親子愛、地球を飛び出して木星を目指す間も親子愛、1つ目の惑星ではウラシマ効果と親子愛、2つ目の惑星ではサスペンスからアクション、そしてまた親子愛、ブラックホールでもやっぱり親子愛。親子愛だらけやね。この映画は愛で覆われていますわ。その最たるものが、終盤のクーパーが必死にマーフにメッセージを伝えようとする場面。くるものがある。

 

個人的にはTARSのキャラクターが好き。TARSとはクーパーの宇宙船に同乗しているユーモアセンス抜群のロボット。宇宙船という閉鎖空間の中でTARSみたいな奴がいてくれたらかなり精神的に楽になるだろうなと思った。

 

気になったところもある。「マーフィーとNASAに行きつき、クーパーがパイロットとして宇宙へ行くことを依頼され、決意する、家に帰ると娘が行かないでと泣く」この流れを短時間に圧縮したせいか、クーパーは特に葛藤することなく宇宙に行くことを決めたようにみえるし、マーフィーは家に帰るといきなり泣き喚く情緒不安定な子供に感じてしまった。せめてNASAからの帰りの車内での親子のやり取りでもあればよかったかな。そうかと思えば、特に何ということはない序盤の母船とのドッキングを長々と時間をかけるし、何か目的があるのかよくわからなかった。不安になるような音楽を使って緊迫感を演出しているもののただのドッキングだろとしか思えないし。

 

時代設定も世界中が環境の変化により砂嵐に悩まされており、食料不足だということが、いまいち伝わってこない。ニューヨークやサンフランシスコ等のアメリカの大都市はもちろん、世界の国々の状況がいっさい出てこないからだ。特に飢えているという描写もない。地球で出てくるのはクーパーの家周辺とNASAだけで、かなり狭い世界に感じてしまう。

 

正直まだ言い足りないこともあるんだけど、細かいことをこれ以上論ってもしかたがないのでやめておく。逆を言えば、細かいことを気にしなければ傑作。自分は気になってしまったからしょうがないと諦めてるけど。

 

結局この映画でクリストファー・ノーランが言いたかったことは

 

宇宙最高!そして一番重要なのは愛なんだよ、愛!

 

ということなのかな。それは伝わった気がします。