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じつはもっとヤバイ

2011年06月02日 15:52|影の行政刷新・公務員制度改革担当相核燃料サイクル

使用済核燃料で原発が止まる
http://www.taro.org/2011/05/post-1017.php
というブログを5月31日に書きました。

一般論としては正しいが、個別具体的に見ると甘いというご指摘を原子力委員会関係筋からいただきました。

使用済核燃料は年間約1000トン出てくる。全国の使用済核燃料のプールの余裕は約7年分弱。六ヶ所村の再処理工場の原材料プールの残り容量は300tしかない。

だから、青森県むつ市に5000tの中間貯蔵施設をつくる計画になっている。

しかし、もともと大綱でしていた議論では、むつクラス(5000トン)の中間貯蔵施設が5、6個必要だとされていたが、できたのはむつ一つだけ。

このむつの中間貯蔵施設は東電と日本原電が努力して造ったものであり、キリギリスしていた他の電力に喜んで使わせるほど甘くはない。

むつ中間貯蔵施設が使えなければ、東電、東北電力以外の使用済核燃料プールがあふれるのはブログで書いたよりももっと早い。

さらに、「六ヶ所村の再処理工場が稼働できなければ、早晩、原発は、耐用年数よりも使用済核燃料プールの空き容量で行き詰まることになる」と書いたが、現在、プルサーマルで使っているプルトニウムは全量ヨーロッパにあるプルトニウムを原材料として作成されたMOX燃料で、六カ所の再処理工場のプルトニウムの用途は、当面、もんじゅ用に限られる。もし、もんじゅが稼働しなければ、六カ所における再処理のニーズはない。

再処理が進まなければ、使用済核燃料プールの問題はもっと切迫する。

しかも、六カ所の再処理工場が予定通りに来年10月から稼働するのは現時点で、極めて難しくなっている。なぜならば、東北電力管内の電力不足で、テスト運転ができそうもないから。

おいおい、なにもかも予定通りにいかないじゃないか。

さらに明らかになったのは、プルトニウムをめぐる電力会社の情報の不透明性。

プルトニウムには核分裂性のものと核分裂性でないものがある。プルトニウムの重量を表す時に、トンプルトニウム(tPu)という単位を使いうが、核分裂性のプルトニウムの重量を表す時には核分裂性を表すfissileのfをつけてtPufと表す。

現在、日本国内には10.06tPuのプルトニウムがあり、そのうちの6.87tPufが核分裂性だ。

イギリスとフランスには合計して24.13tPufの核分裂性プルトニウムがあるが(これは原発を運転している各電力会社のものである)、プルトニウム合計でどれだけの量があるはわからない。日本の電力会社が先方と結んでいる契約は、核分裂性プルトニウムの量は知らせるが、プルトニウムの総量については取り決めがないからだという。

核分裂性とそうでないものの比率から、英仏両国にある日本のプルトニウムは約35トンと推定され、国内にあるものと合計して約45トンのプルトニウムを日本が保有していることになる。

この英仏両国にあるプルトニウムは、向こうにおいておけば倉庫代がかかる。だから電力会社は、このプルトニウムを材料にしたMOX燃料をヨーロッパで作り、日本に輸入している。国内の使用済核燃料を再処理してMOX燃料を作るよりも、まず、海外のプルトニウムを処分する方が先なのだ。

だから六カ所で再処理されるプルトニウムの使い道は、当面、もんじゅしかないのだ。

では、このプルトニウムの倉庫代がいったいいくらなのか。電力会社はそれを公開していない。英仏両国に支払った再処理費用にある程度の倉庫代が含まれているはずだが、それがどの程度なのかを電力会社は公開していない。

こうした費用は全て、総括原価方式の中で電力料金の元になるコストに含まれる。しかし、国民にこうした情報が公開されていない。

国内で再処理したプルトニウムを原料にMOX燃料を作る工場は平成27年に竣工する計画になっている。しかし、なにもかも予定通りいかないのに、ハコモノだけがどんどんできるということは避けなければならない。

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