「なんでウチがビール会社に呑み込まれるんだ!」「なだ万」買収 ――老舗がのれんを売り渡すとき 創業184年の歴史は、いともあっけなく
現代ビジネス 12月6日(土)6時2分配信
そんな「なだ万」とは対照的に、「質」にこだわることでどん底から這い上がり、復活を果たした老舗料亭もある。前出の河内氏はこう語る。
「『船場吉兆』は、食品偽装問題を起こしてから大阪・北新地で再出発していますが、味がいいと評判になり、再び注目を集めています。『吉兆』は現在、経営者一族の本名である『湯木』という看板を掲げ、それまでの多角経営をやめている。事業を絞り込み、『味』を追い求める本来の姿に集中したことが功を奏したのでしょう」
伝統を守り通すのか、大企業の買収に応じ、生き残りをかけるのか―。今、多くの老舗は「なだ万」と同じような境遇に置かれている。河内氏は続ける。
「老舗と言われる企業は、ただ漫然と同じことを繰り返すだけではじり貧になってしまいます。これからの時代、経営多角化や買収など、老舗は会社の将来を左右するような厳しい判断を迫られる状況に立たされることになるでしょう。
そんな時代にあって、『なだ万』は経営を大企業に委ねるという選択肢を選びました。日本を代表する料亭が売り渡されることに関しては、個人的に一抹の寂しさを禁じ得ません」
「なだ万」は今回の買収劇で、そのブランド力だけでなく、長い時間をかけて蓄積されてきた職人技をも失いかねない決断を下した。それでもなお、会社の存続を優先させたのだ。
江戸時代から続いた184年の歴史をかなぐり捨てて新たな道を歩む名門料亭。その舵取りが正しかったのかは、これから明らかになるだろう。
「週刊現代」2014年12月6日号より
週刊現代
最終更新:12月6日(土)6時2分
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