【ニューヨーク=稲井創一】ソニー傘下のソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)が、サイバー攻撃を受け流出した情報に基づいて報道することを控えるよう米メディアなどに通知していたことがわかった。流出した情報には従業員の給与情報や俳優の個人情報も含まれるとされる。情報流出の拡散防止に向け、SPEは異例ともいえる報道抑制の要請に踏み切った。
SPEの代理人であるボーイズ弁護士が14日付で、ニューヨーク・タイムズ紙やブルームバーグ・ニュースなどに書面で要請した。ブルームバーグ・ニュースによると、ボーイズ弁護士は、流出したデータは破棄すべきで、知的財産権や給料などの情報が報道で公表されることに伴う損害の責任を、メディアは問われると主張したという。SPEは「文書についてのコメントは控える」と話した。
11月下旬のSPEに対する大規模なサイバー攻撃を巡っては、今月25日に予定されている北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺計画を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」の公開中止を求める北朝鮮の関与が指摘されている。15日までに、一部の報道で撮影中の人気スパイ映画「007」シリーズ最新作の脚本が流出したことがわかっている。
さらにハッカーから、映画「ザ・インタビュー」の公開を予定している25日に合わせ「クリスマス・プレゼント」として新たなデータを提供するとメディア各社に通告があったという。SPEによる異例のメディアへの要請の背景には、終わりの見えない情報流出による被害を最小限にしたいとの狙いがありそうだ。
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