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【社会】

沖縄のNO聞け 首相、4選挙区全敗も強気

「辺野古埋立阻止」のプラカードを掲げ、基地移設反対を訴える市民ら=15日、沖縄県名護市辺野古の「キャンプ・シュワブ」ゲート前で

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 自民党が三百近い議席を維持し、安倍政権の継続が決まった衆院選。沖縄では十一月の知事選に続き、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設が争点となり、四つの小選挙区すべてで自民候補が敗北した。しかし自民候補は全員が比例で復活当選。安倍晋三首相も日米合意に沿って移設を進める構えを崩さない。届かない民意に、地元でも、首都圏の沖縄出身者からも抗議の声が上がる。 

 衆院選投開票から一夜明けた十五日、名護市辺野古の米軍基地「キャンプ・シュワブ」のゲート前では、普天間飛行場移設に伴う新基地建設に反対する市民らが集会を開いた。県内の小選挙区すべてで基地建設に反対を訴えた候補が当選したことを祝い、建設阻止に向け引き続き取り組むことを誓った。

 この日は最大で約百二十人が集まり、座り込みなどで抗議した。沖縄平和運動センターの山城博治議長は「沖縄は何度も選挙で民意を示している。安倍政権に負けず、勇気と誇りを持って意思を示していこう」と呼び掛けた。午後には「沖縄『建白書』を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」のメンバー約八十人もゲート前を訪れ、座り込みに参加した。

 一方、海上では、移設の埋め立て予定地の周辺海域を潜水調査する沖縄防衛局の船舶が、少なくとも八隻が確認された。大きな作業は確認されなかった。

◆「これ以上我慢できぬ」沖縄出身者

 首都圏の沖縄出身者からも「沖縄の民意の表れだ」との声の一方、「やはりこのまま進むのか」との危機感も聞かれた。

 「これ以上の不平等は我慢できないという覚悟を県民が決めた」と語るのは、那覇市出身のフリーライター島袋寛之さん(37)=東京都杉並区。特に驚いたのが、沖縄1区での自民敗北。「基地がなく、これまで基地問題に関心が低かった那覇市を含む1区で、共産が勝ったことに大きな意味がある」

 沖縄県浦添市出身で、さいたま市南区に住む主婦(30)は「自民は、何も動いてくれないという怒りなのではないか。少なくとも今のままでは、ダメだというメッセージのように思う」とみる。

 沖縄の結果とは裏腹に、自民が単独で過半数を大きく上回ったことに「このまま沖縄の声が届かなくなるのでは、と心配してしまう。沖縄の選挙区では敗北したということを忘れないでほしい」と訴えた。

 中学生で沖縄から川崎市に移り住み、今は市内で沖縄料理店を営む木戸京子さん(58)は、敗れた自民候補が全員比例復活したことには「なんだかよく分かりません」と割り切れない思い。

 選挙戦で経済対策を中心に訴えた安倍首相は、基地移設にも継続姿勢を見せている。「選挙の勝ち、負けでいえば、勝った側に権限がある。消費税増税でも人々の思いとは別に強要された。『このまま進むのではないか』との気持ちもある」と語った。

◆「選挙区の結果こそ民意」 都内で辺野古問題集会

 「沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック」のメンバーらは十五日、東京都内で、辺野古の基地問題を考える集会を開催。辺野古の基地建設反対の闘いを描いたドキュメント映画「圧殺の海」(藤本幸久、影山あさ子監督)を上映し、沖縄県知事選後の基地反対運動の状況を紹介した。

 神奈川県座間市に住むメンバーの外間(ほかま)三枝子さん(66)は、沖縄県本部(もとぶ)町出身。今回の結果に「沖縄の民意をはっきり示した。本土の人たちのふがいなさを感じる。今、民主主義があるのは沖縄だけだ」と憤る。

 「アベノミクス解散だ」としながら、選挙が終わった途端、集団的自衛権の行使容認などでも「力強い支持をいただいた」と強気の安倍首相にも、「国民もマスコミも権力者にこれだけ言いたい放題言わせていいのか。情けなくて言葉もない」と話した。

 比例で自民候補が復活当選したことには、石垣島出身の東京都墨田区、下地厚さん(54)は「小選挙区が大きな意味での民意。小選挙区で選ばれた人が民意を反映してくれる」と期待。安倍首相には「勝ったことですべて信任されたとすることに、怒りしか感じない。これからまた一つ一つ闘っていくしかない」と決意を新たにしていた。

 

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