衆院選:中国、安倍首相の言動注視

毎日新聞 2014年12月14日 23時30分(最終更新 12月14日 23時54分)

笑顔でテレビ出演する安倍晋三首相=東京都千代田区の党本部で2014年12月14日午後10時19分、藤井太郎撮影
笑顔でテレビ出演する安倍晋三首相=東京都千代田区の党本部で2014年12月14日午後10時19分、藤井太郎撮影

 【北京・工藤哲】衆院選での自民党の圧勝について、中国政府は14日、公式見解を示していないが、今後数年の日中関係に直結する結果と受け止め、高い関心を持って情勢を見極めている模様だ。習近平指導部は来年を「抗日戦争勝利70年」と位置づけ、歴史問題で安倍晋三政権に妥協しない姿勢を示しており、引き続き安倍首相の言動に注視するとみられる。

 国営新華社通信(英語版)は14日夜、日本での開票作業開始直後に自民、公明両党で300議席以上を確保し、圧勝する見通しだと速報した。また、国営中国中央テレビ(CCTV)は開票前から日本の衆院選の仕組みを図表つきで解説。「多くの有権者は民主党政権に裏切られたとの思いが強く、仕方なく自民党を選んだ」「安倍首相は選挙でこれまでの失政を覆い隠した」「安倍首相は今後、メディアの管理を一層強化する」などと解説した。

 今後の日中関係で中国側が最も強く懸念しているのは、安倍首相が再び靖国神社を参拝するなど、歴史問題で中国との対立姿勢を強める事態だ。11月に安倍首相と習国家主席の首脳会談が北京で実現したのは「歴史問題で日本側が善処することが前提だった」(中国外務省関係者)と受け止められている。再び安倍首相が靖国神社を参拝すれば「中国国内の対日強硬世論を抑えて安倍首相と会談した習主席のメンツが丸つぶれになる」(日中関係筋)として、対日強硬世論が再燃するのは確実だ。14日付の北京紙「法制晩報」は安倍首相について「国家安全保障会議や特定秘密保護法を手がけ、武器輸出三原則を見直し、集団的自衛権の行使を容認した。最後の恐れは憲法の徹底した変質だ」と懸念を伝えた。

 中日友好協会の唐家※(とう・かせん)会長(元国務委員)は3日、北京で開かれた新日中友好21世紀委員会の会合で「(日中の)政治と安全保障の相互信頼の不在の源は、相手への理解と位置づけにある。(日本にとって中国は)協力パートナーなのか、それともライバルで脅威なのかという根本的な問題に尽きる」と述べ、引き続き安倍首相の言動を注視する考えを示している。(※は「王」の右に「旋」)

最新写真特集