北欧食器が当たるかも!Xmas料理特集!

改憲の政局が始まる - 野党再編、憲法改正、安倍談話の三位一体で

マスコミが予測報道したとおり、自公圧勝の選挙結果となった。そして、52%という異常な低投票率となった。すべてマスコミの事前の予告どおりで、寸分の違いもないと言っていい。マスコミ各社が、自民が300議席に迫る勢いだと報じたのは、公示翌々日の12/4だった。そして、その情勢を知っていたNHKは、公示の夜の7時のニュースで、今回の選挙の争点は「憲法改正」だと急に言い、各党党首にそれについての姿勢を表明させていた。繰り返し書くが、この選挙が始まったとき、改憲が争点だなどと、そんな説明をしていたマスコミは1社もなかったし、有権者も、野党も、そんな意識は微塵もなかった。解散決定(11/18)から公示(12/2)までの2週間、テレビ論戦で「憲法改正」が話題になったことは一度もない。前半戦であるこの2週間、議論はアベノミクスに集中し、集団的自衛権の信任の問題が2番目に添えられる進行だった。振り返って、前半戦では、争点として論じられる内容が公平なものであったことが分かる。つまり、選挙戦の序盤では、自民党が多少とも議席を減らす予想がされていて、その空気が支配的だったため、マスコミの対応も、民意は、アベノミクス批判と集団的自衛権への不信任として出るという想定だったのである。が、公示後の後半はガラリと変わり、NHKを皮切りにして「改憲の是非」を言うようになった。自民党が300議席の勢いだという調査が出て、争点の中味を安倍晋三側に寄せたのだ。

今日(12/15)の朝日の1面には、「首相、改憲議論の推進表明」と小見出しが踊っている。Twですでに書いたが、安倍晋三は、改憲の断行を来年2015年の夏までの前倒しで狙ってくる可能性が高い。現在、こんな早期の日程を予想している者は一人もいないだろう。朝日の紙面記事(2面)も、改憲は2016年の参院選後だと書いている。だが、よく考えないといけない。安倍晋三は、われわれが全く予想してないことを、何もかも前倒しで強引に実行に移してきた。選挙では一言も言わず、公約にも何も触れてなかった秘密保護法を強行採決し、公明党が反対していた集団的自衛権の閣議決定を押し切った。この二つは、結局、今回の衆院選で民意を得て承認された形になった。堂々と正統性の根拠を得た。安倍晋三は、2012年の衆院選で圧勝して政権を獲得した翌年春、いきなり橋下徹と組んで96条の改憲に出てきた。この独裁者は、常にアベノミクスを進めると表向きは経済の話を言い、ポーカーフェイスを装いながら、不意討ちでイデオロギー問題の政局を仕掛けてくる。「安全運転に徹する」だの、「安倍カラーは封印する」だのと、子飼いのマスコミ記者に書かせて世間を騙し、政敵と人々を安心させながら、毒々しい安保政局に持ち込んでくる。この2年間、常に同じパターンだった。3度の選挙とも、争点は同じアベノミクスで、景気回復が公約なのである。そうやって嘘をつき、人を安心させて、狙いの獲物を仕留めにくる。

来年は戦後70年の節目の年である。ノーベル平和賞が「憲法9条を保持する日本国民」に贈られる可能性が高い。今年、下馬評では、平和憲法は受賞候補の第1位に上げられていた。オスロの選考委員会が、ラマラとサティヤルティを今年の受賞者に選んだのは、日本の平和憲法を来年受賞させる深慮と意図がはたらいたからではないだろうか。その方が、戦後70年の記念の受賞として意味が重く、演出効果をマキシマムにすることができる。先送りにしたのだ。もし、そうだとすると、発表が10月で、内定が9月というスケジュールになる。そして、実際に平和憲法が受賞した暁には、2016年に安倍晋三が改憲を強行する環境条件は失われてしまう。安倍晋三自身が、平和憲法のノーベル賞受賞を祝う挨拶を言わなくてはならず、その意義を積極的を認めるコメントを出さざるを得ない。世界を前に、9条のノーベル平和賞受賞に感謝感激を言いながら、すぐに改憲に動くというわけにはいかない。どれほど厚顔無恥な安倍晋三でも、そこまでの卑劣な所業は無理だろう。そうなると、改憲を目論む安倍晋三としては、8月までに国民投票を済ませて憲法を変えていなくてはいけない。名実ともに9条は滅んだのだと、日本国民の意思で9条を葬送したのだと、そう世界の前にアピールして、平和憲法のノーベル賞受賞を消さなくてはいけない。だから、安倍晋三の立場に立って考えると、改憲の決戦場は来年前半になるのである。

7月に国民投票。発議から国民投票までは、国民投票法の規定で最低60日間が必要だから、逆算で国会発議は5月となる。5月3日の憲法記念日の前後が、発議挙行のタイミングになるのではないか。きわめて大胆な推理だが、ノーベル平和賞の日程と安倍晋三の思惑から診断すると、そうした前倒しの改憲の政局が浮かび上がってくる。来年8月15日、安倍晋三は、河野談話と村山談話を否定する「安倍談話」を発表する。その中味は、北岡伸一が安保法制懇で策したものをベースにしたところの、「積極的平和主義」外交への転換の宣言になるだろう。このとき、中韓は共同で記念事業を行う予定であり、中国も韓国も、これまでにない「日本軍国主義批判」のキャンペーンを打ってくることは必至の情勢だ。河野談話と村山談話を否定する「安倍談話」の発表には、特に韓国は国を挙げて反発を示すことだろう。来年8月、東アジアは緊張し、中韓vs日本の対立構図が先鋭となり、世界の耳目を集める状況となる。このとき、孤立する日本の安倍晋三が、「安倍談話」が国民の総意であることを証明するためには、その最も効果的な方法は、7月に国民投票で平和憲法を屠ることである。あの戦争は正義の戦争であり、独立自尊の防衛戦争であったと、そう日本国民は認めているのだと、世界の前で弁証するためには、平和憲法を国民投票で始末するという象徴的な政治を作ることが最も都合がいい。改憲達成こそが「安倍談話」の正当性の証明になる。

改憲の政局は、われわれの現在の予想を裏切り、素早く前倒しされてくるに違いない。今回、維新の党は議席を減らさず維持し、民主党は海江田万里が落選して、党内でさらに右派主導の性格が濃厚になった。私の予想では、改憲の政治は、「税と社会保障の一体改革」と同様、自民党と公明党と維新と民主党の四党が合意するお膳立てで発議が為される。民主党は、今度の選挙結果を受けて、維新と合併する「野党再編」の衝動がさらに高まり、右派議員を中心にして、正式に党の改憲草案作りに歩を進めて行くだろう。このことは、これまでなかった動きだ。従来は、民主党の憲法政策は枝野幸男が仕切り、左右両派が剥き出しの対立を起こして分裂しないよう、論憲のレベルで止めていた。だが、党全体の議論としては、自衛隊を認めて条文に書き込む9条改訂の合意はほぼできている。それは公明党も同じだ。年明けと同時に改憲論議が活発となり、安倍晋三と橋下徹は、民主党と公明党にそれぞれ改憲草案を出すよう求め、その最大公約数のところで四党一致の改憲案を絞り、四党合意を策定しようとするだろう。2年前の96条改憲の動きが失敗したのは、安倍晋三が維新だけを取り込もうとしたからで、民主党と公明党に気配りをしなかったからである。それと、もう一つは、マスコミに改憲反対の論者が頻繁に登場し、小林節などが説得的な反論を上げ、国民の世論が96条改訂に反対多数となったからだ。安倍晋三は、今度は周到に、テレビに反改憲の論者が出るのを阻止するだろう。

例によって、「公平中立」を口実にしてテレビに圧力をかけ、改憲反対の論者の出演と説得を潰し、永田町だけの動きを静かに報道させ、共産党だけが反対しているという構図を作るはずだ。テレビ報道に対する安倍晋三の圧力、そしてテレビ側からの安倍晋三への服従と個人崇拝は、これまでの日本では想像もできなかった異常なものになるはずで、テレビを完全に制圧した後は、いよいよネットの言論党勢へ動いてくるに違いない。Yahooとか、Twitterとか、Exciteとか、ネット企業の幹部とメシを食い、あるいは自民党本部に呼びつけ、圧力と懐柔をかけ、安倍晋三を批判するBlogを閉鎖させるとか、口実を設けて著者を逮捕するとか、そうした弾圧と排除の手に出てくるだろう。今、危ないと思われるのは古館伊知郎で、来年2月に川内原発の再稼働が行われるが、このときに反対姿勢を鮮明にした報道をすると、間違いなく番組打ち切りに追い込まれるはずだ。ここ数ヶ月、惠村順一郎がほとんど安倍晋三批判を言わなくなった。惠村順一郎のコメントは、朝日の紙面記事と同じく、何を主張しているのか分からない、無味乾燥で無内容な日本語の羅列と化していて、政権への正面からの批判のメッセージが不発になっている。番組打ち切りが恐いからであり、安倍晋三に恭順する態度を示しているからだ。古館伊知郎は、今、正念場に立たされていると思われる。大越健介のNW9と同じく、安倍晋三を個人崇拝する番組に切り換えるか、それとも番組を降板するか、二者択一が迫られているに違いない。

今後、NHKは積極的に改憲をテーマにした報道を前面に出し、国内の世論を改憲賛成多数に導いて行こうと図るだろう。5月に発議し、7月に国民投票の予定なら、もうそれほど時間の余裕がない。ネットの一部には、共産党が伸び、極右の次世代の党が後退したから、もう改憲はできないなどという声が出ているが、それはあまりに楽観的すぎる誤った認識だ。ファンタジックな感想と言わざるを得ない。次世代の党が議席を激減させたのは、何より、石原慎太郎の引退の影響が大きい。平沼赳夫にはカリスマが皆無で、極右を率いる指導的資質に欠ける。石原慎太郎の肉体が限界になったところで、この党の命脈は尽きたと言える。だが、極右は意気軒昂だし、勢力を衰えさせたわけではない。改憲は、極右が前面に出て派手に騒ぐのではなく、永田町で粛々と四党合意の方式で進め、それをNHKが当然のことのように報道した方が巧く処理できる。おそらく、民主党の代表選から改憲論議は始まる。そして、来年の通常国会で、四党合意への布石が始まり、NHKが世論固めを遂行し、集団的自衛権の安保法制論議と同時に、「憲法改正」の政局が黒々と浮上するだろう。(1)野党再編、(2)憲法改正、(3)安倍談話、その三つが三位一体で政局となる。来年の国会は、きわめてイデロギー臭の濃いものとなる。今は、集団的自衛権の法整備と「第三の矢」のネオリベ諸法案に関心が向き、細かな政策論議になるだろうと誰もが思っているが、そうはならず、共産党を選ぶか、多数派を選ぶか、その選択が国民に迫られるだろう。

改憲反対派は、共産党を中心とする左翼という異端に押し込められる。護憲派=共産党=中韓の味方=反日というレッテルが貼られ、そのプロパガンダがマスコミとネットを埋め、護憲派を逡巡させるだろう。



by yoniumuhibi | 2014-12-15 23:30 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://critic20.exblog.jp/tb/23212493
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


カウンターとメール

最新のコメント

開票速報を見て、前に提案..
by ijkl at 01:21
沖縄での演説も素晴らしか..
by korei at 18:54
異論もあるが素晴らしい演..
by 遠野物語 at 04:32
>84歳の高齢者が、まさ..
by ゆたか at 03:49
久しぶりに見た84歳の"..
by 長坂 at 23:06
不破哲三の演説動画をみて..
by tokyoletter at 19:07
私自身、いま投票先を問わ..
by 石畳 at 18:57
…続… 國分功一郎のよう..
by NY金魚 at 13:39
ぼくを含めて、まわりにも..
by NY金魚 at 13:35
自分の映画のなかですべて..
by NY金魚 at 01:45
山田太一氏が、11/14..
by tokyoletter at 22:56
私は直近の菅原さんの行動..
by ROM者です。 at 18:31
外国動画で観来。ブログ主..
by 歌飼谷 霧蔵 at 14:12
(先輩の言葉ですが)思想..
by H.A. at 13:19
追悼文有り難うございます..
by 遠野物語 at 05:10
全く同感です。 菅..
by あつい at 22:38
内橋克人と、2005年に..
by tokyoletter at 20:33
小沢派(現:生活の党)が..
by keitan020211 at 19:31
ひとりの俳優であった賢者..
by NY金魚 at 17:41
仙台に住んでいた時の下宿..
by カプリコン at 22:00

以前の記事

2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月

記事ランキング

不破哲三の演説 - ..
民主党と共産党につい..
静かな選挙 - 正統..
「山田洋次監督と平和..
菅原文太を悼む - ..
笹井芳樹の「遺書」の..
関心の低い選挙 - ..
崩壊が始まった「ST..
追悼 菅原文太 - ..
10 失望と呆然の丹羽仁史..
XML | ATOM

skin by excite